第21ステージ、7月21日の最終日は、ヴェルサイユをスタート、パリのシャンゼリゼをゴールとする133.5kmのコース。
前日のアネシイのレースで、表彰台に上る3人は決まってしまったので、この日はパレード的な雰囲気が濃く、パリへ入るまでは選手全員のんびりと走りを楽しむ様子。
パリへ入ってから、シャンゼリゼとルーブルを結ぶサーキットを10周ほどして、最後のコンコルド広場を出て凱旋門直前のゴールまで直線の上り坂をダッシュしてゴールラインを誰が制すかがこの日唯一のレース。
このスプリントは昨年まで4年連続、英国のカヴェンデイッシュが制し世界一のスプリンターの名を恣にしたが、今年は5連覇がなるかが注目の一点。
今年は初めて、凱旋門があるエトワール広場を回るコースが採用された。去年までは凱旋門の直前でヘアピン・カーブを切りシャンゼリゼを折り返していたので、選手は減速せざるを得なかった。
実は、去年もその前年もテレビが観られずツール・ド・フランスも見損ねた。先週インターネットのプロバイダに行きテレビを申し込んで、デコーダーを貰って来た。ADSLの電話回線から30チャンネルくらいのテレビ放送が受像できるようになった。契約メニューを担当のお姉さんが調整してくれ毎月1000円ほどの追加で済んだ。
テレビを申し込む気になったのは、ドローンを使って、今年のツール・ド・フランス中継は、今までにない映像を観られるとカミサンの妹に吹き込まれたからだ。
下の画像はグーグルからお借りしたもので、フランスのテレビ局が使ったドローンは、画像と同じに4隅にプロペラが付いてるが、上下二重の、全部で8枚のプロペラが回転する。電池で作動し、地上から無線操縦、滞空時間は最大12分とのことだった。
カーラジオで聴いた解説では、USAは大型の爆撃に使うのから小型を含めドローンを千機以上保有し、フランスは2機しかないので、マリなどサヘル(中部アフリカの砂漠地帯)での作戦に活用できないと嘆いていた。
このブログでも牛山馬男さんが、もう数か月前に、投稿されていた記事で、ドローンがプライベート情報蒐集に利用されているとか、フランスでもネットの個人情報が盗まれているとお書きになっていた。
その頃は、めのおは恥ずかしいことにドローンを知らなかったので、馬男さんの記事にコメントもできなかったのだが、こうしてテレビ中継にも利用されていると知って驚いた。
今回のツール・ド・フランスのスタートはコルシカ島で、ヘリコプターでは近寄れないような、海辺の切り立った崖すれすれの映像とかが観られたに相違ない。テレビが観れるようになったのは、最終日の日曜から。
最終日のスタートは、まず宮殿の敷地内の広大な庭と濠を選手たちが巡る仮スタートで始まり、上空からのフランス式庭園の幾何学模様や、噴水の映像をふんだんに見せてくれて、改めてル・ノートル設計のヴェルサイユ宮殿の整然たる姿を認めさせられた。
フランスは共和国だけども、フランス大革命の前、特に太陽王ルイ14世は絶対王政を築いた王で、絶対主義があったゆえに革命が起こったという説もあり、共和主義者も、実は君主制が大好きで、ヴェルサイユ宮殿はフランス人すべての誇りなのだ。君主制が好きというのを告白できないだけだ、と解説者がシニカルな批評をしていた。そう言えば社会党の大臣たちも、昔のままの豪華な宮殿を公邸に使っている。
ヴェルサイユ宮殿の、最近になって修復され屋根や出窓の飾りに施された金箔や、王冠の付いた門を潜り抜ける映像など、従来のヘリコプターからでは捉えられない映像を、新たなアングルから見せてくれた。
ツール・ド・フランスはただの自転車ロードレースじゃなく、通過する地方の地理的歴史的情報を800万人といわれるテレビ観衆に伝える国民的祭典なのだ。
シャンゼリゼのゴールを過去4年連続で制したスプリントの王者、英国のカヴェンデイッシュは結局、二人のドイツ選手に敗れ5連覇はならなかった。
また3年前にドーピング検査で微量が検出され2年間出場できなかったスペインのコンタドールも、個人総合で4位にとどまり表彰台に上れなかった。
上り坂で旧チャンピオン、コンタドールを抜き去るフロム↑
世代交代というか、若い選手に往年のチャンピオンが勝てなかったのが第100回のレース。
優勝は28歳の英国人クリス・フロム(Chris Froome)。両親とも英国人だが、ケニアのナイロビで生まれ、子供の時に母親に買って貰ったVTTで埃っぽい道を走ったのが自転車との出会いだった。南アで育ったという。内気な優しい性格らしく、フランス語の挨拶と英語でのスピーチは、チームのメンバーが支えてくれたことへの感謝と、最近失った母親への哀惜に満ちていてとても良かった。
最終日のスタート前に4人で記念撮影。黄色のジャージがフロム。赤の水玉ジャージがキンタナ。
個人総合2位には、コロンビア出身、23歳の、キンタナ( Quintana )が入った。
前日のアネシーの上り坂で、コンタドール、フロムを制して区間優勝を飾り、登坂優勝者に贈られる赤い水玉模様のジャージと25歳以下に贈られる敢闘賞の白いジャージーの二つを獲得した。
キンタナの一家は海抜3000mの高地に住む農家で、やはり母親が子供に、当時で30€ほどのVTTを買って与え、キンタナ少年は毎朝、小学校へ18kmの下り坂をVTTで下り、夕方は18kmの上り坂を自転車をこいで家へ帰った。
子供の頃タクシーに撥ねられ4日間意識不明に陥った。生死を分かつ大事故から立ち直った経験は、コンタドールと似ている。前日の上り坂で区間優勝を飾った息子の姿を見て、涙を拭う父親の姿があった。30€でも、貧しい農家にとっては、思い切った決断が要ったのだろう。
個人総合3位はスペインのロドリゲス。トップとの差は5分4秒だった。
日本からは新城(あらしろ)選手が、今年はブイグを去りEUROPCAR チームで出場した。途中単独でトップを走る場面もあったようだが、個人総合は99位、86時間51分33秒で、トップとの差は3時間強だった。
シャンゼリゼを背に表彰台の3人↑
100回を記念する表彰式は、凱旋門を使った光の祭典で、これを観られただけでテレビを繋いで良かったと思った。最新のハイテクを駆使し、歴史記念物のレリーフやアーチを利用しての光の芸術は、新しい分野が開かれたことを教えてくれた。





