15年の間に300回は行ったろうか。冬を除いては毎週森へ行っていたから。
何度行っても、決して飽きることのない、行くたびに新しい発見がある無尽蔵の森だ。
季節の変化。動物や植物との出会い。きのこ狩り。わらび摘み……。
森はいちばん長いところで30kmはある。A6号線の高速道路と国道6号と7号が横切っている。車で抜けるにも20分はかかる。県道が幾つか走り、それを繋いで網目状に細い道路が張りめぐらされている。ハイキングコースに車は入れない。
フォンテンヌブローとアヴォンの街を囲むようにルット・ロンドと呼ばれる環状線が走っている。車が入れる片側1車線の道。森の中の道は舗装も良くメンテが行き届いて走ると気持ちがいい。春の新緑の頃はブナの淡い緑が陽光を透かせて棚引き、ものみな蘇る季節が来たと心も浮き立つ。ところどころ野生のヒヤシンスが青い絨毯を敷いたように群がって生えている。
この道を西の方向へ走ると岩がごろごろした谷間、ゴルジュ・ド・フランシャールがあり、その先にレ・トロワ・ピニョンがある。森の外れにバルビゾンの村と、さらに行くとミイ・ラ・フォレの村がある。レ・トロワ・ピニョンの見晴らし台の岩場から畑の奥にミイ・ラ・フォレを望むことが出来る。
ゴルジュは咽の意味だけれど、森では大きな窪み、谷の入り口みたいなところに良く使われている。ゴルジュ・ド・フランシャールは全長が2kmくらいある長い谷で両側と谷の底に大きな岩がごろごろしている。足場はそう悪くなく、普通の靴で歩ける。白いさらさらした砂地。秋にはセップなどきのこも生える。
もっと西へ行き、森の外れ近くにレ・トロワ・ピニョンがあり、ここの方が人も少なく、自然が残されている。岩場は若い人がロープを使わず素手でする岩登りの練習場になっている。
森を抜けミイ・ラ・フォレの村に入る。小さな村で、中心の広場に大きな屋根に覆われた昔の木造の市場が残っている。
この村は、20世紀初頭の詩人、画家、映画監督で有名なジャン・コクトーが晩年に住み、村外れの礼拝堂を絵で飾った。この小さなシャペルにコクトーの墓がある。
シャペルは、かつて尼さんが植えた薬草(ハーブ) に囲まれている。
(つづく)






