1)水素爆発:建屋上部に何故水素が溜まっていたのか?放射能を大量に含んでいた筈。
2)4号機 :使用済み核燃料プールが何故水素爆発したのか?
村上龍編集長のメルマガ「JMM」を数年前から配信を受け購読していたのですが、ここ数カ月間、アメブロが面白くて読んでいませんでした。昨日久しぶりに開けて見ると「オサマ・ビン・ラデイン」殺害作戦の成功を喜ぶアメリカと、これから激しくなるかもしれない報復テロへの警戒を強めるアメリカの姿を、ニュージャージー在住の作家「冷泉彰彦」さんがレポートしていました。直後の事なので、この記事はとても興味がありましたが、めのおの注意を惹いたのは、この一つ前の4月30日付で冷泉さんが投稿された「福島第一の2つの謎」についての記事でした。
この記事で、めのおが事故当初、水素爆発が続けて起った時に、「使用済み核燃料」といえども恐ろしく危険なのだと認識を改めると同時に、なんで「使用済み」つまり「燃えカス」が、爆発を起こすほど危険なのだろう?と素朴な疑問を抱いたのですが、それに対する答えを与えられました。
4月30日付けの冷泉彰彦さんのこのレポートは海外、特にアメリカが福島原発事故をどう見てるかについてとても貴重な情報と視点を提供されていますので、是非ご一読をお奨めします。
リンク→http://ryumurakami.jmm.co.jp/ を開き、JMMのヘッダー直下に並んだバナー・ボタン「レポート・エッセイ」を押すと一番上にアメリカ国旗付きで冷泉彰彦さんの「from911/USAレポート」が出てきます。この記事はその第511回です。
無断転載は許されていないので要点のみを記させて頂きます。
結論を先に書きますと、まず「使用済み」核燃料という言葉に惑わされていた。4号機のプールに入っていたのは「使用済み」ではなく「使用中」のまだまだあと12カ月は核分裂の連鎖反応をする燃料だった。だから、あんなにも激しい水素爆発が起こった。
完全に使用済みの燃料があんな爆発を起こすなら、冷泉さんがご指摘なさってる通り、福島第一の4号機の事故だけで、世界中(特に再処理をせず直接地中に埋めてしまうアメリカ)の使用済み核燃料の貯蔵、処理が不可能になり核分裂を利用した原発は即時全面的に廃止を余儀なくされてしまう。アメリカはそれを怖れている。
これも冷泉さんの記事で知ったのですが、アメリカとフランスと違い、日本では法律で13カ月に一度炉を停めて燃料を取り出しメンテナンスをすると定められている。つまり4号機のプールに入っていたのは燃え尽きた後の「灰」ではなく、「あと1年は充分燃える核燃料」でした。それなら爆発の理由が解ります。さらに爆発の際の水蒸気には大量の放射性物質が含まれていたんだということも。アメリカはこんどの4号機の事故を日本の特殊な保全ルールにあるとしたいようです。
3号機の水素爆発で、何故水素が建屋上部に溜まっていたのか?
福島第一原発の3号機は「MOX燃料」つまり使用済み核燃料の再処理によって得られるプルトニウムを普通のウラン235が3~5%とウラン238がほとんどを占める核燃料に混ぜて使う、高速増殖炉へ向けての試験の意味を含んだ原子炉でした。
3号機は1976年に竣工、1990年末にMOXを使用するため原子炉(圧力容器)をリノベし内部の主要機器も錆に強く、炭素の含有量が少ないステンレス316Lに交換されています。
福島第一は6基のうち5基が構造上「マーク1型」と呼ばれる炉なのですが、その仕様は「圧力容器内の圧力が上昇して危険な状態に陥った場合は建屋上部内にベントして圧力を逃がす」となっている。
さて、問題の、3号機。
東電と政府の説明では「ベントは圧力容器からではなく、その外の格納容器の圧力を排気筒を通じて直接外気に行った」とのことであり、何故水素が格納容器内で発生したかの説明がなされていない。しかも直接外気に放射能を含む気体を放出したのであれば、重大な社会的責任が問われねばなりません。
原発関係者や行政当局はメンツや利権による圧力に屈することなく、4基が同時に制御不能になった歴史上未曾有の事故とどのように闘ったか?恥は一時のもの、これからのエネルギー政策をどう進めるか?人類の未来に関わる大事な判断を誤らないためにも、隠したり、実務担当者を抑え込んだり、箝口令を敷いたり、土下座でごまかしたりせず、真実を明かにして欲しいです。
メンツや庇い合いをして大事な真実を隠したりすれば、国際社会で矛盾が追及され、いつかは必ず露見しますから、そうなったら日本という国、国民が世界から不信の眼で見られ歴史の続く限り「恥」を背負っていかねばなりません。
(つづく)
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