「湾岸戦争のとき、日本はアメリカに相当のお金を出したわね。日本の経済が石油に頼り、日本の石油が中東に頼ってるイジョー、中東の安全は日本にとって生命にかかわるから、あのぐらいのお金出してエエ思うワ。平和憲法で兵力を提供できないんだから、お金で日本の安全と石油を守ってくれる多国籍軍に協力するのは当然ヤロ」
「アメリカの言いなりになるのはシャクだけどね」
「金持ちは困った人を助けて当然ヤ。アメリカに占領されてよかった思いナサイ。ソ連や中共の支配下に置かれてたらヒドイことなってたよ。自由も享楽もあったもんじゃナイ。援助コーサイゆうて気楽に遊んどるけど、バレたらカンゴクゆきデッセ」
「先生は戦後すぐ、アメリカの占領下の日本にいらしたんですか?」
ジャンヌ・マリーから先生の経歴を聞いたのを思い出して和秋は訊いた。
「そうや。衛生班の一員として、焼け野原のガキどもにDDTをフリカケてたんやわ。あれは有害なんヤてね。知らんサカイ。わるいことした」
「そのとき、日本語を始められたんですか?」
「私たちのひと世代上の日本学者はね、捕虜の日本兵から情報を得るために日本語を勉強したんデス。私は若い時から中国に惹かれてましたからマズ中国語を学びました」
(つづく)
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