七月十四日の革命記念日の夜はル・アーヴルの港でも花火があがり、一晩中お祭り気分で守衛も気を抜くだろうから、事務所で一仕事するにはいい晩かも知れないとムホクは考えた。
だが祭日には朝からオフィスのドアに自動ロックが掛かって、へたに触れるとアラームが作動し警備会社が駆けつけてくるので、休み明けで意気のたるむ十五日の晩に忍びこむことにした。今度は門限ぎりぎりではなく一時間前にドアから建物に侵入し、コルビエールの事務所に入り込んだ。
コンピューターのスクリーンの明りに巡回してくる夜警が気づくといけないので、夜警の巡回を待ち、一度やり過ごしてから、おもむろにコルビエールのデスクに座りデスクトップ型のコンピューターの電源を入れた。秘密ファイルのコードを当てねばならない。
アブドラがメモに残した八桁の数字。プルトニウムの同位元素とその割合を示す数字だが、あのうちのどれかが秘密ファイルを開けるキー番号ではないのか。アブドラのメモの写しをムホクは取り出した。
72200832
05799932
81000042
30000142
20000242
この順番で打つか逆さまにするかムホクは迷った。しかもキーコードは二回までミスできるが三回叩いて当たらなかったらコンピュータは閉じてしまう。
238 00227、239 99750、240 00018、241 00003、239 00002これらのうち三つを選ばねばならなかった。一番数字としては小さい下のふたつを除いて大きい数から打つことにした。24100003。反応はなかった。
24000018。こんどもスクリーンに変化はなかった。あと一回だけしかトライできない。まてよ。とムホクは考えた。もうすこし手が込んでいるかもしれない。
八桁の数字は電話番号に使われている。この数字ははもしかしたら連絡用の電話番号ではないのか?ムホクはリスクを冒すことを覚悟で五つある番号を試してみることにした。エリアコードはまずセーヌ・マリチームの02を押した。
(つづく)
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