一般の囚人が週二回しかシャワーを浴びられないのに比べ、そこでは毎日使えるし、食事の質も全然違っていた。それでもフーキエは監獄最高のメニューも受け付けず、特別な計らいを申請し家人に外部の仕出し屋に作らせた伊勢エビや高級料理を自前で払って差し入れをさせた。そういう料理でないと喉を通らないのだった。長年の大企業の長としての生活がいかに彼の食生活をも贅沢にしていたかが伺い知れる。
フーキエは鱗屑センという神経性の皮膚炎を持病として持っていた。この皮膚病は、皮膚角質層の上層が大小の薄板となって剥がれ落ちるもので、治療に特別な薬が必要だった。
監獄では必要な薬を手配して貰えず、掻けばますます広がるのを承知で痒みに耐え切れず、寝ているうちに掻いたりして至る所に赤い斑点が浮き出し、血が滲み、化膿し、カサブタが身体中を覆っていた。
やがて化膿した部分が広がり、尻や背中、椅子やベッドに接触する部分が壊疽となり、日中は座ることもできず、判事の訊問には立ったまま答え、夜も眠れない状態が続くことになる。
七月十五日、パリ控訴院の重罪起訴部はフーキエの拘留延長を決定、エマ・ベレの保釈要求拒否、審問の継続を支持した。
(つづく)
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