「あそこの中華屋…ちょっとレベル高いよ」
街を歩いていると、そこらじゅうから他人の会話が耳に入ってくる。
しかし大体の話題は右から左へ抜けていき、頭に残ることはほぼない。
今日もそのはずだった。
しかしながら、いつも通り右から左へ抜けるはずだったその言葉は急なUターンをカマして、もう一度左耳から俺の頭に入り込んできたのだ。
「あそこの中華屋…ちょっとレベル高いよ」
みんなも町中華をはじめとし、中華料理は色々食べてきただろう。
俺もSo。
中華は美味しい。
なんでも美味しい。
逆に言えば、「どこでもある程度美味しい」のだ。
誤解を恐れずに言えば、中華ってのは店によってさほど特徴がなく、どこで食べても変わりなく美味しい。
それが中華なのだ!
だから俺にはその言葉が強烈な衝撃を伴って頭に飛び込んできたのだ。
「あそこの中華屋、ちょっとレベル高いよ」
そんな中華屋あるものか!!
ちょっとレベルが高いとどうなるのだ!?
「ちょっとレベルの高い中華料理」ってなんだよ!?
そんなものこの世には存在しない!
「中華」は中華以上でも以下でもない、「中華」でしかないのだ!
あいつ、適当言いやがって!!