デカメガネ流行ってるじゃねいですか。
俺ね、あれ掛けてる人結構好きなんですが、あ、こんなこと俺がネット上で発言したらもっと流行っちゃうかな?
そんでさ、自分でも掛けてみたい衝動に駆られて、お店で掛けてみたわけ。
もちろん、周りに誰もいないことヒッソリコッソリと確認してから、なるべく素早い動作で掛けてみたね。
目の前の鏡に映った鼻メガネ。
デカメガネは俺の鼻をもデカく見せる効果があったみたい。
なんか、残念だったよ。
少しでも「似合うかも」だなんて思った俺がバカだったんだ。
失意の中で歩く街並み。
ふと目の前に現れた「宝くじ」の売り場。
「宝くじ当たんねェかなァ…」が口癖の割に、いつもはまったく気にも止めない宝くじ売り場なんだけど、昨日はなんだか無性に気になったんだ。
この直感を信じ、「やらなきゃ!」と思い、スクラッチを5枚買った。
1枚、2枚、3枚、4枚…
とハズレが続き、失意の中で最後の1枚を削る。
当たった…!
…200円。
一枚200円なので、5枚分買って払ったのは1000円。
当たったのはたった200円。
失意の中で売り子のおばちゃんに「これでもう一枚ください!」と叫んだ。
するとおばちゃんは、その一枚を両手で挟み、「当たれッ!」と祈りを捧げてくれたんだ、俺のために!
「(おばちゃん…おめェってやつは…グスン)。」
新宿の中心でおばちゃんの優しさに触れ、ラストチャンスの一枚を削った。
まるで自分の命もろとも削るかのように、削った。
おばちゃんの命もろとも削り取るかのように、削った。
当たった…!
…500円。
俺が最初に払ったのは1000円。
当たったのは500円。
失意の中でおばちゃんに報告した。
「500円でした…。これでもう2枚…」
と言いかけたとき、おばちゃんが、
「もうやめときなさい!」
と言った。
そしてコーヒーの飴をくれた。
人って優しいなァ。
売り子のおばあさんがくれた初めてのキャンディー。
それはコーヒー味で、ワタシは33歳でした。
その味は甘くてクリーミィーで、こんな素晴らしいキャンディーをもらえるワタシはきっと特別な存在なのだと感じました。
今ではワタシがおじいさん。
聖サンにあげたのは、もちろんコーヒーキャンディー。
彼は「いらねェよ。」と一蹴しました。