電車ん中でアプリゲームをやってたらさ、隣の若ヨッパがものすごい勢いで覗いてるわけよ。
別にゲームくらい見られてもいいけどさ、あからさまに覗き込む奴とかどうなの?
しかも俺がやってたゲームが激ムズのアクションゲームでさ、何回も同じトラップで死ぬわけよ。
だってさ!
後ろから翼が生えた変な紳士が追っ掛けてくるからさ、そりゃすげぇ焦りながら断崖絶壁の崖をジャンプしながらやっとのことで逃げ切ったら、着地地点の地面からゾンビが湧き出てくるんだよ?
なんだよこの絶望!
もうね、何回そのゾンビにやられたかわかんないよ。
もう何回も同じとこでつまづいてたから、あまりにもイライラして舌打ちとか出ちゃうのよ。
あ、ちなみに俺舌打ちする奴嫌いね。
でも今回ばかりはしかたない。
あまりにも熱中してたから最初は気付かなかったんだけど、俺がそのゾンビにやられるたびに、
「あ~…」
って言う、ものすごく小さなため息が聞こえてくるんよ。
若ヨッパだよ。
こいつ感情移入してやがる。
よォし。
ここはこいつの分まで俺が頑張らなきゃならない。
10数回繰り返したかな?
やっとの思いでその場所を突破できたのよ。
俺はクリアできたことよりも、もはや若ヨッパの反応の方が気になっていた。
でも直接見るわけにもいかないから、ドアのガラス窓に写るヨッパを見たわけよ。
笑ってた。
俺、嬉しかった。
ありがとう若ヨッパ。
俺はオマエが応援してくれたから頑張れたんだよ。
何回リセットしようとしたかわかんないもん。
でもオマエが俺の携帯を覗いてるからリセットしようにも出来なかったよ。
ありがとう若ヨッパ。
そんな不思議な出会いに感謝しながらもゲームの続きを進めていたら、今度は槍を持った豚が口から緑のゲロみたいのを吐いてきて殺された。
そしたら崖のところからやり直しだった。