全国の二十歳っ子たち。
おめでとう。
成人式はどうだった?
昔の親友とは今でも腹を割って話せた?
好きだったアイツはどうなってた?
新たな恋の予感はあった?
思い出はセピアのままの方が綺麗な場合だってあるさ。
もうキミはあの頃のキミじゃない。
キミは二十歳になったんだ。
二十歳になってしまったんだ。
現実を見なさい。
顔面は日々衰え、気付けば走る事さえ苦になっているんじゃないか?
もう他人事じゃないぞ。
オマエももうこっち側の人間になったんだ。
これからの人生、良い事なんて皆無だ。
諦めろ、オマエはもう年増なのだから…。

俺の成人式は遠い過去のお話。
スーツでキメて、気合い十分。
今思えば、何かを期待していたかもしれない。
いや、思いっきりしていた。
しかしチキンな俺は式を終え颯爽と帰宅した。
その日、その後の記憶は全くない。
きっと何もしていないからだ。
残ったのは「成人記念QUOカード」だけだ。
あの頃、俺の携帯にはまだカメラが付いていなかった。
時代を感じずにはいられない、悲しいエピソードだろう?
だから俺の成人の記録は何もない。
写真も何もない。
思い出もない。
友達もいない。
お金もない。
太い。
臭い。