「たけちゃんが、逝った。」 | 佐藤通弘・佐藤通芳オフィシャルブログ Powered by Ameba

「たけちゃんが、逝った。」

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たけちゃん。国本武春。
本名加藤武が逝ったのは、クリスマスイブの朝だった。

私の友だち、弟、アニキ、ライバル、そして私の誇り。

たけちゃんと出会ったのは三十数年前。
私の義弟の、中学からの親友だったたけちゃん。
私と二人で、歌祭文(うたざいもん)というユニットを組んで、原宿のアコスタジオ。
シリーズ化してライブを行った。
たけちゃんが歌って語って、私は伴奏したりソロを弾いたり。
私はみち坊、たけちゃんはたけ坊。
修業中の二人が、修業に悩んだり恋をしたり。
毎回話しが盛り上がってきた時に、「♪ちょうど時間となりました。」となって終演。
お客さまが「えー!?」。
歌祭文の構想を練るという名目で、二人でよく旅に行った。
温泉に泊まったりペンションに泊まったり。夜寝る前に、円生ばりの落語を一席語って聞かせてくれたり。
女の子達を連れて、ディズニーランドやプールにも。
青春の一ページ。
ニューヨークにも行った。
私のライブに出演してもらったら、
日本語でうなるからアメリカ人はわからないはずなのに、すごいうけてた。
その頃から、たけちゃんはどんどん売れていった。
有名になっていった。
私は置いていかれるような、寂しさを感じてた。
そして羨ましく思った。
でもそれ以上に、たけちゃんを誇りに思った。
国本武春は最初から、自分を信じていた。
自分のすごさを。
自分の偉大さを。
そしてその通りになった。

国本武春は、駆け抜けて行ってしまった。



自宅に帰ってきたたけちゃんに、会いに行った。
いい顔だ。
国本武春の顔だ。
いつもの白いシャツ、黒いベストの舞台衣装。
「じゃあ、またね。」
そう言って、おいとましてきた。

帰り道は雲一つない、透き通るような夜空。
丸い銀に光った大きな月を見上げて。
私の心の中に、穴があいた私の心の中に。
月の光が差し込んで。
今はただ、無性に会いたいよ。

たけちゃん。