
骨折して手術、入院した父との面会。
やたら「布団を敷いて寝ればいい」と言ってくるので、これは父自身が眠いんだろうなと思い、帰ることにしました。
面会時間も10分と制限されていることですし、潮時です。
「お父さん、じゃあもう寝てください。おやすみなさい」
と言ったら、父は
「はーい、おやすみなさーい」
と目を閉じました。
立ち去ろうとしたわたしは、そこでふと思い出して、
「お父さん、帰る前に握手しようか」
と声をかけて父の右手を取りました。
父は、
「おお、嬉しいねえ。これは嬉しいねえ」
とわたしの手をしっかりと握り返しました。
わたしは父の右手を両手で握りましたが、父は左手でも握手を求めてきたので、右手で握手をしつつ左手でも握手をしました。


