入院中の父に面会してきました。

 

 

父は言いました。

「寝足りないだろう。その辺に布団敷いて寝たら?」

 

「お昼寝してきたから大丈夫だよ」

と返しましたが、布団を敷いて寝ろとしきりに言うので、時計を見せて、まだ日が高い時間であることを教えました。

「3時?お昼の?まだ昼間かあ!」

父は感心したように言いました。

 

 

「今日は泊まっていくといいよ。その辺に布団があるだろう」

「今日は帰るから」

とわたしが返すと、父はびっくりしたように

「えぇっ!こんな時間に帰るの?」

と言いました。

 

「おれはもう大丈夫だから、今日はもう帰った方がいい。早く帰った方がいいよ」

と焦ったように言う父。

 

「まだ3時だから。電車もバスもあるから大丈夫だよ」

と再び時計を見せると、

「そうかー」

と安心したようでした。

 

しかし、その後も父は

「あんたも布団を敷いて眠るといいよ」

と繰り返し言います。

 

「布団ならたくさんあるからよ。好きに使っていいよ。おれはここの親分みたいなものだから。アッハッハ」

 

父はどこにいるつもりなんだろう。

そして、親分とは。

 

病院なので布団はたくさんあるかもしれません。