母が入院して一年が経ち、父も特養に入所しました。


父が実際に特養に入るまでは、できるだけ実家を残す方向で考えていました。


母が退院したら家に戻りたいかも。

父が特養に入っても合わなくていられないかも。

母が亡くなった時には実家から見送りたい。

などなど、いろいろ考えていたのです。


しかし、父を特養まで送る夫の車に同乗してわかりました。


遠い!


母が退院してどんなに回復しても実家で一人で暮らすのは無理だし、わたしは一緒に暮らすことはできない。そもそも、退院後の母を実家まで連れてくるのだって大変。生きていても死んでいても。



夫はかねてから「無理だと思う」と助言してくれていて、全くもってそれは正しいのだけれど、正しいと頭ではわかっていたのだけれど。


ようやくその言葉が腑に落ちました。




父と実家で過ごした最後の夜。

父がテレビを観ながら大きな声で笑っていました。

その姿を見て、母がいなくなったこの場所で、実家を実家たらしめていたのは父の存在だったんだなと感じました。

父と母のいない実家は、抜け殻なのです。


わたしは両親と特別仲がよかったわけではないし、特に結婚してからはあまり帰らなかったけれど。

生まれ育った家で、父と母が暮らしているというだけで、帰る場所があるように感じていたのかもしれません。


父と母が不在の、抜け殻になった実家だけ残していても、元気だった頃の父と母は帰ってこない。

抜け殻のまま残しておくより、一番輝いていた頃の実家を、家族を、心の中に留めておけばいい。



あとは正直言いますと、管理が大変です。

郵便物確認なくてはいけないし、共益費が現金払い。

安いとはいえ、家賃も光熱費もかかります。


両親の荷物の処分を先延ばしにしたって結局しなくてはいけないのだから、もうやってしまおう。


退去すると決めると、退去するメリットばかりが浮かびます。



管理事務所に相談した結果、3月末を目処に退去しようと決めました。

それを超えても手続きをすれば大丈夫なのですが、提出する書類が増えて手間がかかるので。


片付けが順調に進めば、2月末に退去したい。

通えない距離ではないので、しばらく週3〜4で通って片付けていきます。