父が特養に入所することになりました。

 

ここ一年ほど、実家で父の介護をしてきました。

途中からはショートステイを長期間利用しながら。

 

父は、

「死ぬまでここに住む」

と言っていたこともあります。

 

「九州に帰る」

と言うこともあります。

(九州には父の実家があります)

 

でも、父には特養に入ってもらうのです。

 

父が望むなら住み慣れた実家で暮らしてもらいたい気持ちもあります。

でも、ショートステイを利用しながら、わたしが父のお世話を続けていくのは限界があります。

 

わたしにはわたしの生活があるし。

わたしが倒れたら、父を看る人は誰もいません。

 

 

それに母がいない今の実家は、父が住み続けたいと思う住み慣れた我が家ではないと思うのです。

父が帰りたいのは、母がいて、自分自身もしっかりしていた過去ではないでしょうか。

 

「ここなら知り合いもたくさんいるし」

父は言うけれど、その知り合いをもう一人だって思い出すことはできません。

 

話しかけても拒絶されない、向こうから声を掛けてくれる。それが父の知り合いの基準なら、ショートステイや特養でもそれは満たされるわけで。

 

 

父は時々、生まれ育った九州に帰りたいと言います。

 

父の実家を守っていた父の弟は死んでしまったし、当然、父の両親ももういません。父の姉も特養に入ってしまいました。

 

今の父の実家は、もう父の帰りたかった実家ではないのです。

 

 

父自身、ショートステイ先での暮らしが日常になりつつあります。

ショートステイ利用直後は「帰りたい」「帰る」と繰り返していたようですが、帰宅すると、

「おれが住んでいたのは、こんな家だったかな」

と言うこともありました。

 

寝起きや夕方に、

「他の人たちは?」

「おれはベッドで寝ていたはずだ」

と言うのも、ショートステイ先と混同してのことなのだと思います。

 

ショートステイに慣れた父は、特養にも慣れてくれるはず。