父が先日、「よだきい」という方言を教えてくれました。

 

父は「あまりよくない」「なんかいやな感じ」と訳しましたが、ネットで調べたら「面倒くさい」「おっくう」という意味のようです。

 

当たり前に使っている言葉を、他の意味に正確に置き換えるって難しくて、「こういう意味だよ」と説明してくれても、実際はもっと広範囲の意味があるんでしょうね。

 

 

父は20時には布団を敷いて就寝しています。

前日の夜、あまり眠れなかったわたしは、21時を過ぎた頃にそろそろ布団を敷いて寝ようかなあと考えていました。

 

すると、父がトイレに行くため起きました。

トイレから戻ってくると、寝巻きの上にフリースを羽織ってわたしの方にやってきます。

これは、父がわたしに聞きたいことがある、何か話をしようとする時の姿勢です。

 

案の定、父は聞きたいことがあると言いました。

「ここの家賃は誰が払っているんだろう」

家賃を払ってるのは、もちろん父です。口座引き落としではありますが。

 

「九州のおれのおやじが払ったりしてるのかなあ。してないと思うんだけどなあ」

 

92歳の父の父(わたしの祖父)が、生きているわけがありません。

こういう時の父には、何を言ってもだめ。

通帳を見せてもだめなのです。

 

「明日、市役所に行って聞いてみよう」

父は言いました。

娘「そうだね、明日の朝、市役所に行こう」

父「あんたとおれでな」

娘「そうだね。明日ね」

よし、これでクローズ。

と思ったら甘かった。

 

「おれの親族一覧があったはずだ」

「大事な写真を集めた写真集があったはずだ」

などと言い、わたしが心当たりのものを出してきても「これじゃない」と言います。

 

そしてまた、

「ここの家賃は誰が払っているんだろうな」

「明日、市役所に行って聞いてみよう」

と繰り返し言います。

 

「市役所に行くとしても、今は夜だから市役所やってないでしょう?」

「明日、朝一番で市役所に行こうよ」

と言い聞かせますが、話は堂々巡り。

 

わたしも寝不足なので、だんだんイライラしてきてしまいました。

イライラが声に出てしまい、少し反省。

 

しかし、翌朝になって思いました。

父の言っていたよだきい人って、ああいうことかも。