父は、朝ごはんに納豆ごはんを食べます。
 
父用のどんぶりをテーブルの上に出し、炊飯器からごはんをよそってもらいます。
 
冷蔵庫に納豆があるよ、と声を掛けて、冷蔵庫から納豆を出してもらいます。
 
さらに、父は納豆ごはんに卵を入れるのが好きです。
自主的に卵を出すこともありますが、忘れることもあります。忘れた時には、冷蔵庫に卵があるよ、と声を掛けます。
 
ある日の朝。
「冷蔵庫に卵があるよ」
わたしが言うと、父はなぜか
「卵は逃げないから」
と言います。
 
おかしなことを言う。
「そうですよ。逃げませんよ。卵に足が生えているわけじゃあるまいし」
と言ったら、父は大いにウケて、
「卵に、足が生えていたら、大変だよ、みんな見にくるよ、アッハッハッハ」
と笑いをこらえきれない様子で、笑う合間にやっとのことでしゃべるくらいの爆笑ぶりでした。