「十年くらい前に、山に行って蕎麦を食べたなあ」
父が言いました。
「あれはどこだったかなあ?あんた、覚えてない?」
それ、絶対にわたし一緒に行ってない。
「お母さんと一緒に行ったんじゃないの?それか老人会で行ったんじゃない?」
と、老人会の写真が集められたアルバムを持ってきて開きました。
これかな?ここかな?と父に言いますが、
「見てたらあんた、思い出さない?」
などと言って真剣に見ません。
わたしは行っていないので、思い出しようがないんですけどね。わたしのことを母だと思っているのかな。
娘「これ、富士山ってあるよ。山だね。富士山で蕎麦食べたの?」
父「富士山で蕎麦食べたよ」
おっ、正解か?
父「あれは学生の頃だったなあ」
時期が違う。
「何で急に蕎麦のこと言い出したの?蕎麦食べたいの?」
と問うと、
「別に蕎麦が食べたいわけじゃないよ。急に、ふっと思い出したの」
と父。
この話が終わってから考えたのですが、もしかしたら今年の初詣に行った時、蕎麦を食べたので、その時のことを言っているのかもしれません。