父がある日、急に言いました。

「お母さんは◯◯病院に入院してるのか」

 

入院中だということと、入院先の病院名を書いた紙はずっと貼ってあるのですが、父は久しぶりにその情報を発見したようです。

 

「10月になったら、お見舞いに行こう」

と父は言います。

 

今は暑いから、絶対に無理ではあるのですが。

涼しくなったとしても、父は病院までたどり着けるだろうか。

 

Zoomで面会はしているのに、すっかり忘れてしまっています。

 

でもたまに、

「今日は10時からお母さんとテレビ電話だったっけ?」

と言うこともあります。

 

Zoom面会したことは覚えていないのに、Zoom面会をするよ、と言ったことは覚えているらしい。

 

 

「いつかお母さんのお見舞いに行ったなあ」

と言う時もあります。

 

この前なんか、

「入院中なのに元気に歩いていたよなあ。全然病人じゃないみたいだった」

と言いました。

 

父が会った時の母は、人工呼吸器がついた状態で言葉は発せないし、ストレッチャーに横たわっていて、起きることもままならなかったのに。

 

 

かつて母が、腕の手術で入院したことがありました。

 

その時、父はお見舞いには行っていないと思うのですが、

「入院中は、手術当日まで(洗濯など)身の回りのことを全部自分でしていたから、同室の人には入院患者だと思われていなくて付き添いの人だと思われていた」

というエピソードは母のお気に入りだったので、父の記憶の片隅に残っていたのかもしれません。