父を健診に連れて行きました。
しかし、尿検査ができませんでした。
なので、自宅で採って持ってくるように言われたのですが、自宅でちゃんと採れるのか心配です。
帰宅後、父がトイレに行く時に声掛けをしようと考えていたのですが、なかなかトイレに行かない。
なので、父にお願いしてみました。
「健康診断に行って、尿検査できなかったからおうちで採ってくださいって言われたの。トイレにコップがあるから、おしっこする時、それに採ってくれる?」
父は答えました。
「ええ?病院で採ったよ」
採ってないよ。
「病院のトイレで、小さい扉を開けてそこにコップを置いたよ」
何でそんなことだけ覚えてるんだ。
確かに父は、病院のトイレで小さい扉を開けて、そこに採尿用のコップを置きました。ただし、空のコップを、です。
「採ってないってば。出なかったから、家で採ってきてくださいって言われたでしょう?」
と言っても「採った」の一点張り。
ああああああああああ!
ここは一呼吸置きます。
時間を置いてから、今度は健診の案内の紙に書きました。
「尿検査の量が不十分だったので、自宅で採取して再提出をお願いします。」
その紙を見せながら、
「お父さんは病院に健康診断に行ったでしょう?尿検査のためにおしっこを提出したけど、量が足りなかったんだって。だから、家で採ってきてくださいって言われたの。トイレにコップがあるから、それに入れてくれる?」
と説明しました。
本当は病院で尿を提出していないけれど、父が「提出した」と主張するので、それを認めた上で「再提出が必要」と説明してみました。
父は「わかった」と言ってすぐにトイレに行き、コップに尿を採りました。
めでたし、めでたし。
事実と異なっているとしても、相手が事実だと思い込んでいるならそれを尊重する。
これは認知症対応以外でも、応用できそう。
