父が、
「今日は日曜日か。どこに行っても日曜日だなあ」
と言いました。
日付変更線を越えなければ、どこに行っても日曜日ですよ。どこに行きたいのよ。
「病院に行こうと思ったのよ」
と父が言います。
「どこか具合悪いの?」
と尋ねると、
「説明するのが面倒だから説明しない」
と言います。
「わたしに説明できないものを、病院に行ってお医者さんに説明できないでしょう」
病院に行くなら、お医者さんに説明するのはわたしなので、本当にどこか悪いならちゃんと聞かなきゃならない。
しかし、父は笑うばかりです。
「どこが悪いかわからないから、病院をたらい回しにされちゃうなあ」
「たらい回しになんてされないよ。どこも悪くないから帰ってくださいって言われるよ」
とわたしが言うと、父はまた笑いながら、
「お医者さんなんだから、悪いところ見つけて治してください」
などと言うのでした。
「赤ちゃんだって痛いところあったら泣くんだから、お父さんもちゃんと説明してください」
などと言ってるうちに「病院に行きたい」と言ったことは忘れたようです。
父が「病院に行きたい」と言う時は「寂しいから構ってよ」ということなのでしょうか。