昨晩、就寝した父が起きて声を掛けてきました。

(15分ぶり二度目)

「母さん、母さんは俺の田舎に行ったことがあったよなあ」


わたしは父に背中を向けてテレビを観ていました。

振り返ると「あっ、あんただったの」と父は気恥ずかしそうな素振りを見せました。


「お父さんの田舎には行ったことがあるから、わたしでわかることなら聞きますよ」

と言うと、

「ああ、そう!あんたを連れて行ったことがあるのかね」

と驚きを見せます。


こういう時のために、父の田舎に行った時のアルバムを手近なところに置いてあります。


アルバムを見せると、父は感嘆の声を上げながら見入り、2ページくらい見たところで、

「もういい。あとはまた明日見せて」

と言いました。


何度も同じこと聞かれて相手するのは大変だと思っていました。


でも、

「この団地がなくなる。出て行かなきゃいけない」

「年金もらってない」

という類のことをしつこく言われるより、こういう話ならちっとも大変じゃないと思い直しました。


実際にあったことを思い出せない、思い出したいというのは相手するのに負担が少ないけれど、妄想は対応に困る、といったところでしょうか。

妄想への対応力も高めていきたい。