父が、ものすごくボロボロのスリッパを履いています。


これはひどい。ひどすぎる。


何でこんなにボロボロのを履いているんだ、と思いましたが一つ思い当たることがありました。


もしかして、これは何年も前の父の日にわたしがプレゼントしたものでは?


タグを見ると「良品計画」と書いてあり、無印良品のものだとわかりました。

この家で無印良品のものを買う人間などたった一人しかいません。


わたしが贈ったものだから、父も母も捨てられずにずっとこれを使っていたのです。

申し訳ないことをしてしまった。


父に、

「そのスリッパは、むかしわたしが父の日に贈ったものだと思うんだけど」

と言うと、嬉しそうに

「そうだ、そうだよ」と答えます。


「もうボロボロになってしまったから、新しいのを買ってきたら履いてくれる?」と聞いたら履くと言うので新しいスリッパを買ってきました。


再びの無印良品。

「お父さんに新しいスリッパを買ってきたよ」

と言うと、初耳のように驚き、喜んで、すぐに履いてくれました。


にこにこしながら、

「すごいすごい、天国まで登れそうだよ」

と足踏みしていました。


これを自分のスリッパだと認識してくれるまでまた時間がかかりそうですが、根気よくおぼえてもらおうと思います。