昨日、別室で片付けをしていると父が声を掛けてきました。

「ちょっとこっちに来て、お話をしましょうよ」


父のところに行くと、父はメモ帳を前に鉛筆を握っています。


父が言いました。

「えー。まずは、お母さんの名前からだ」


いつも用意してある資料があるので、母の名前と写真を見せて、

「お母さんは入院しているよ」

「今日、お母さんとテレビ電話するよ」

と説明しました。


すると父はそれをメモに書きました。

手が震えて字が書けない時がありますが、しっかりした字を書いています。


母の入院についても聞かれたので説明しました。

それもメモを取っていましたが、疲れて横になってしまいました。


入院のことは何度も何度も伝えていますが、50年以上連れ添ってきた母の名前すら思い出せなくなるのですから、入院のことを記憶できなくても仕方ないかなと思います。