夏の夜は楽しい感じがするけど、冬はそうじゃないね、と父が言った。


冬の夜は、厳しく寂しい感じがするらしい。

だからみんな早くお家に帰った方がいいんだって。



午後3時半頃、用事があってわたし一人で出かけたのです。出かける前に、これから出かけること、午後6時か、遅くとも7時までには帰ってくることを父に説明しました。

父は文字での認識の方が理解しやすそうなので(忘れても見ればまた新たに情報を得られるし)同じ内容を紙に書いて、見せて、こたつに置きました。


用事を済ませて帰宅すると、父がいました。家の前で立っていました。

夕刊をポストまで取りに来るのが父の日課なので夕刊を取りに来たのかと尋ねると、そうじゃないと言います。誰も帰ってこなくて心細かったようです。


冬の夜は、厳しくて寂しいから、暗くなると不安になってしまうのかもしれない。


今度から暗くなる前に帰りますね。