父は20時30分頃、布団を敷いて寝てしまう。
そして、それから朝まで何度も起きる。トイレで起きることが多いけど、そうじゃない時もある。
誰も来ていないのに「誰だ!」と叫んで飛び起きて玄関まで行くことも何回かあった。
「俺の家族は何人だった?」「この家には、あと何人帰ってくるんだ」と不安いっぱいな表情で言う。
父は常にメガネ掛けているのだけれど、朝、目を覚ましてメガネも掛けず寝巻きのまま玄関を飛び出して、表札に夫婦の名前が書いてあることを確認し「うちの母ちゃんはどこへ行ったんだ」と言うこともあった。
寝巻きのまま玄関を飛び出すのは怖かった。そのままどこかへ行ってしまうんじゃないかと。
わたしがゴミを捨てにちょっと家の外に出ただけなのに、メガネも掛けずに家を飛び出してきたこともあった。
昼間は、こたつで横になっていることがほとんどだった。
そうじゃない時は、座椅子にもたれかかって口を開けてぼんやりした表情でテレビを眺めている。
話しかければ答えるけれど、上の空といった感じ。
昨日、夫が来た時の父はぼんやり度がいつもより少なくて、会話も参加してた。
普段なら朝食を食べるとすぐに横になるのに、今日の父は座椅子に座ったままだった。
日曜版の新聞の将棋のページを見ていた。
そういえば、父は将棋が好きだった。
テレビをつけるとたまたまEテレで将棋の番組がやっていた。
(余談ですが、最近の将棋番組は乃木坂46の人が出てるんですね。びっくりした。)
そのチャンネルに合わせたまま、洗濯や片づけなどをしていたのだけれど、部屋に戻ったら何と、父がテレビの前に陣取って、食い入るようにテレビを観ているのでした。
ここ数年、わたしがあまり実家に帰れなかったのもあるけどそんな父を見るのは久しぶりでした。
「振り駒」という言葉が出てきたので、父に「『振り駒』って何?」と聞くと、淀みなく詳しく説明してくれました。(どちらが先手か決めるために駒を振ることらしい)
その後も囲碁番組を楽しそうに観ていました。
今日の父は冴えてる!と感じ、五目並べに誘ってみました。
以前、父と母がよく五目並べをしていて、わたしが実家に帰ると参戦させられたものです。
父は将棋が好きなだけあって、相手の手を予測しながら一手を放つのがものすごくうまい。
一戦目はわたしが勝ってしまったので「父の勝負技術も衰えたか?」と思ったのですが、その後一回も勝てませんでした。
3回くらいで終わりかなと思ってたら10回やるとか言い出すんだもんなあ。
今日の勝負
娘 VS 父(1勝9敗)