認知症の父をなだめてみよう
STEP1 母のことを思い出させる
「お母さんは誰か」というところから始めなくてはいけないので、写真を見せます。
これは「お母さんの顔を忘れた」「忘れそう」という時にもしている対応なので慣れてきました。
前は写真を1枚だけ見せていましたが「こわそうな顔をしている」と言われてから、他の写真も見せています。
写真を見せていると「そうだそうだ、この人がうちの母ちゃんだ」と思い出します。
やったね、STEP1 CLEAR!
STEP2 母の居場所を伝える
「お母さん」の存在を無事思い出せました。
「この人は、いつもはここに帰ってくるの?」と問われたので「いつもは帰ってくるよ。でも、今は具合が悪くて入院しているの」と伝えます。
STEP3 病院を伝える
「どこの病院に入院してるんだ」と問われるので、病院のパンフレットを出して病院名を伝えます。
病院名を伝えているうちに、誰の話をしていたか忘れるので、しばらくSTEP1〜3を繰り返します。
病院名とか5回くらい言った気がする。
(これに比べたら「今日は何月何日?」って繰り返し聞かれることなんてかわいいものです。)
STEP4 病院の場所を伝える
「電車とバスでどれぐらいかかるのか?」「2時間も3時間もかかるのか?」と問われたので「1時間で着くよ」と答えました。
このやり取りも何回したことか。
「どこにあるのか」と問われ、市区町村名でごまかそうとすると「裏に地図が載ってるんじゃないの?」と変なところで鋭い父。そうですよ、載ってますよ地図。
STEP5 気をそらす
地図を見せると父は「拡大鏡がないと見えない」と言い、棚の前に行き拡大鏡を探し始めました。
目の前にあるのに見つけられないので「この辺じゃない?」と誘導します。手に取ってもそれが目的のものと認識してできないので、それが拡大鏡であることを認識させます。
目的のものを入手して喜ぶ父。
更に、埃っぽかったそれを拭いて綺麗にしてあげたらご機嫌になりました。
「で、その拡大鏡で何を見るんだっけ?」
もうこの辺まで来ると、最初のパニックは収まっています。
地図を見るんですよ、と地図を渡しますが、その地図で何を見るかも忘れている。
病院を指し示してあげると最寄駅を読み上げています。
STEP6 安心させる
「お見舞いに行く時は、わたしも一緒に行きますから」「わたしがご案内しますから、安心してください」と言うと「そうしよう」と言いました。
たぶん、地図を見ている内に思考が停止しちゃったんですね。そこへ楽な道(案内してもらえる)が提示されたので、うまく納得できたんだと思う。
できるだけ本当のことは伝えたいものの、場所を教えて一人で行かれるのが本当に怖いので地図を見せたりしたくなかった。
でも、地図を見たくらいじゃ大丈夫かな。
「僕は今、仕事をしていないから時間があってね、いつでも大丈夫ですから」と父は言いました。
父が「僕」なんて言うの初めて聞いたなあ。
母の入院について説明しても、毎回反応が違うし前に説明したこと覚えてないし、何人もの人がお父さんの中にいるみたいだ。
どの人も、おだやかなのが救いです。
ちなみに、対応に時間かかりすぎて心配した夫から電話がかかってきました。
時間かかったよ〜。心配かけてごめんね。