彼の訃報に思うこと | Seattle ⇆ London カラフルな日々 ー アメリカ移住8年目 ー

Seattle ⇆ London カラフルな日々 ー アメリカ移住8年目 ー

ロンドン大学大学院卒業。元女子アナ兼映画ライター。結婚16年目アラフィフ主婦♡ドイツ駐在経て、2017年米国永住権取得しシアトル移住。英国メニューインスクール留学中12歳violinistの娘と9歳サッカー少年の育児日記。ママ月1回渡英。HermèsとVCA好き!時々お買い物記録。

私のブログは、のほほーんとした単なる子育てブログなので、世界の情勢や様々なニュース、出来事に対して思うことがあっても、これまでほとんどここで自分の想いを発信したことはありません。私のブログを覗きに来てくださる皆さんが、私にそれを求めていらっしゃるとは思えないし、そんな知識も情報量もないごく平凡に生きている専業主婦なので、いつも日々の生活だけを記事にしてきました。でも、今日は、若い有名な俳優さんの訃報に、1人の人間として、母として、思う事が沢山あって、モヤモヤがずっと消えないので、その一部だけでも、ここに記録しておこうと思います。


この記事限りで、また次からは普通の記事に戻ります。長くなりますが、もしお付き合い頂ける方がいれば幸いです。


昨晩遅くに、彼の訃報を知りました。第一報は主人から口頭で聞いたので、耳を疑い、あまりにも信じられなかったので、自分の目で確認したくて、ニュース記事を読み漁りました。そこにはただ、同じような事実が伝えられているだけで、私の『何故?』に答えてくれる記事は一つも見当たりませんでした。


つい最近も彼の主演ドラマを見たばかりで、年齢を重ねるごとに、どんどん人間的魅力が増して良い俳優さんになっていくなぁと思っていました。ファンというカテゴリーに入るのか分からない私でさえ、作品に彼の名前があると観たくなる、観てしまうそんな、観客を惹きつけてやまない俳優さんでした。


『何故?』は、きっとこのニュースを聞いた誰もが共通に思った気持ちですね。あんなに才能に溢れていて、ビジュアルにも恵まれて、多くの人が欲しいものを全て手に入れているかのように見える若き成功者が、自ら死を選ぶほどの苦しみを抱えて生きていたことを思うと、言葉に出来ないほど、胸に詰まるものを感じます。スターになればなるほど、取り巻きが多くなる一方で、彼が安全地帯だと思える場所も人も見失い、分からなくなって、孤独になっていくのかもしれません。


そして真面目で、繊細な人間であればあるほど、身の周りで起きる全ての事柄や耳に入る言葉を真摯に受け止め過ぎてしまい、それを聞き流したり、処理することが出来なくなってしまうのかもしれません。はけ口があり、苦しさをシェアする人がいて、心を解放出来る性格だったらと。


彼の死から、私は今のこの世の中で、鈍感に生きる事の重要性を痛感しました。鈍感力。渡辺淳一さんの著書にありましたね。


私の思う鈍感力は、気づかない、気にしない、適当、諦め、惰性、無関心、という意味です。極端で乱暴な表現にも聞こえますが、時にそれはとても重要で、自分の身を守るために必要な隠れ蓑になる言葉だと感じます。


プロフェッショナルの世界で生きている人にとって、まして一流であればあるほど、この言葉とは真逆の生き方をされているはず。だからこそ、この相反する対称的な能力を身につけて、時に計算高く、したたかに生きることを学ばなければいけないんだと感じました。


命を断つほどの苦しみの中で、真剣に生きていた彼が、今は心安らかに、穏やかになっている事を願って止みません。彼の御冥福を心からお祈りします。