「核兵器は使用できない兵器」「核兵器は無駄」と言う人たちは今でも多くいるが、私は将来使用される可能性は今後もあると思うし、研究開発は無駄ではないと思う。
そもそも、「核兵器が使用できない兵器だ」と冷戦時代(1960年代)から言われているが、それから60年たってもいまだに核保有国が研究開発しているのを説明できない。
しかも50年以上研究開発をしているのはアメリカだけではなく、北朝鮮も含めて最低12か国もある。核兵器が無駄な投資だったら、50年核開発を続ける国が12か国もあるのだろうか?
北朝鮮も2006年に核実験をしたらそれで終わりではなく、その後も改良を続けている。アメリカ・ロシアもあれだけ小型化に成功しても、研究開発をやめない。
その理由を説明してみる。
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①核兵器の威力は代替できない
まず、命中精度の向上で、核兵器は通常兵器で代替できるという説だが、核兵器の威力は通常兵器と違いすぎる。
核分裂エネルギーはTNT爆薬のエネルギーの2000万倍である。核融合だとTNT爆薬の6000万倍もある。桁違いのエネルギーがあるので、通常兵器では核兵器の代替はできない。
命中精度の向上というが、まず命中精度をが意味を持つのは「目標が正確に分かっている」場合のみである。例えば特定の人物や車両、秘匿された地下施設などは、目標を正確に指定できない。
また、命中精度がいくら高くても大型船舶、地下施設、鉄筋コンクリートのビルは、通常兵器では一部しか壊せない。核兵器でも完全に破壊するのは難しいと思う。
②核ミサイルは最も低コストな兵器
北朝鮮の弾道ミサイルの発射実験でよく「北朝鮮は弾道ミサイルにお金をかけすぎている。もっと他のことに使えばいいのに」と言う声をよく聞く。北朝鮮は陸軍・空軍・海軍もボロボロで弾道ミサイルだけに贅沢に金をかけているように見える。
しかし私は、「北朝鮮はお金が無いから核ミサイルに優先的にお金を使っていると考えている」なぜなら、核ミサイルは一旦開発してしまえば低コストで維持できるからだ。
例えば、戦車、戦闘機、軍艦と弾道ミサイルと比較すると、弾道ミサイルは以下のメリットがある。
・弾道ミサイルの配備中には燃料を使用しない。戦車、戦闘機、軍艦は、移動や攻撃に燃料を使用する。
・弾道ミサイルはパイロットや操縦手の育成を必要としない。戦車、戦闘機、軍艦は、動かす人員に多額の育成費用をかける必要がある。
・弾道ミサイルは作り置きができる。またミサイルの保存寿命は長く、数十年にもなる。景気がいい時にたくさん作ってストックしておけば経済的。
・弾道ミサイルは50年前の旧式でも脅威になる。音速の5倍以上で飛行する物体を迎撃する方法は、昔は全くなく今でも少数しかないし飽和攻撃には対処できない。
・北朝鮮のミグ21は戦争には何の役にも立たず、日本の戦闘機でもすぐ撃ち落とせるが、スカッドミサイルやノドンミサイルは大いに役に立つ。
・訓練の練度によって戦局が左右されない。戦闘機のパイロットだと特に技量が重要だが、弾道ミサイルにはそれが無い。
・反乱の心配がない。戦闘機や爆撃機だと発進して他国へ亡命する可能性もあるが、弾道ミサイルにはそれが無い。
総括すると、貴重な石油燃料を使わず、亡命や裏切りの心配がない弾道ミサイルは、北朝鮮にうってつけの兵器である。
その弾道ミサイルの威力を最大限引き出せるのが、核兵器を搭載した核ミサイルである。
北朝鮮の核放棄はまずありえないだろう。
③核ミサイルは発射して終了ではない。必ず敵地の占領か敵国との講和がある。
核戦争について考えるとき、日本では「核ミサイルが自国に向かって発射される。発射を防ぐためにアメリカの核の傘、発射されたらミサイル防衛で撃ち落とす、それでも防ぎきれずに日本が火の海になったらそれで終わり」と考えている人が多い。
しかし、敵国が日本に核ミサイルなどの核兵器を使用して、日本を焦土にした後のことについて、日本政府や日本国民は何も考えていない。
まず、核兵器は全ての人間を殺すことはできない。日本が水爆による核攻撃を受けても、都市の地下街、鉄筋コンクリートビルの奥、トンネルの中、山間の集落は、確実に生存者がいる。核攻撃は平野部を破壊できても山の裏側までは破壊できない。
もし敵国が、日本に向けて核攻撃を行った後、何もしないと日本人生存者が復讐のために核武装をして敵国へ報復する可能性がある。
多くの核保有国の核攻撃計画は、核兵器による攻撃と陸軍による占領が必ずセットになっている。
もし、攻撃地の占領が失敗すれば、そこにいる残存政府と講和条約を締結しなければならない。
日本政府と日本国民に「戦争は勝っても負けても相手と講和しなければならない」という考えが完全に抜けている。講和しなきゃ戦争は終わらない。
④アメリカが純粋水爆にこだわるわけ
核攻撃の後に占領が必要ということは、アメリカが純粋水爆の研究開発を続けている理由にもなる。核攻撃の後の放射能汚染を少なくしないと占領が難しくなるからだ。
その為、残留放射性物質がほとんどない純粋水爆が求められる。
⑤まとめ
核兵器は今現在でも研究開発が続けられており、日々進化し続けている。核兵器の原理や構造は誰でも分かるので、必要なのは時間・お金だけである。時間さえあればどんな小国でも核兵器の制作に必要な技術力を蓄積することができる。お金があれば、原材料、核兵器製造プラントを製造することができる。
それを合わせると、核開発は継続性が最も重要だということである。北朝鮮は約50年間も継続したので核兵器保有国になってしまった。
誰もが「核兵器は現実に作ることができる」と分かっている以上、それを無くすことは無理であろう。知識や技術は人類が絶滅しない限り無くならない。
核兵器廃絶は永遠にできない、今後とも新たな研究開発が行われていくことだろう。