1950年代には爆撃機用やミサイル用の核爆弾の他に、地雷や魚雷、砲弾にも核兵器の搭載を行おうとした。
 特に核砲弾や人力で運搬し目標を破壊する特殊核爆破資材は、かなり軽量化しなければならなかった。
 しかし、初期原爆を小型化し威力を増強した強化原爆でも、砲弾に搭載し、人力で運搬するのは限界があった。
 問題点を挙げると、
・インプロージョン(爆縮式)では、球形になってしまう。大砲の直径は大きいものでも15㎝しかなく装填するのが困難。
・爆縮に使用する爆薬を減らしてしまうと、コアにかかる圧力が減ってしまう。
・臨界量はウラン235が約23㎏プルトニウム239では約6㎏で、コアだけでも重量がある。ウランは臨界量が多いがガンバレル式(砲身式)も可能なので細長い砲弾にも向いている。プルトニウムは臨界量は少ないがガンバレル式にするのは困難なのでインプロージョン式(爆縮式)になってしまう。
・砲弾の射程はミサイルに比べると短いので、あまり強力な威力にしてしまうと、敵だけではなく味方にも被害が出てしまう。なるべく威力が少ないものの方が戦場では好ましかった。

①超小型のガンバレル(砲身型)核砲弾の開発
 超小型の核兵器は、まず核砲弾が製造され、それを転用したものが多い、特殊核爆破資材も核砲弾を改造したものである。だから核砲弾についてまずは述べる。
 前述したとおり、インプロージョン(爆縮式)は、そのままでは砲弾にするのは無理があったので、ガンバレル(砲身型)がまず開発され実用化された。
 ただ、それでも砲弾にするのは難しく、一番最初のW9核砲弾で大砲の直径が28cmもの大きさになってしまった。ソ連も対抗して作り上げるが、こちらも40cmと超大型である。
 また、必要とされるウラン235も50㎏とかなりの量になる。これはダンパーやリフレクターを搭載する厚さや重さが充分ではないので、臨界量も多くなるし効率も悪い。50㎏も使って威力は広島に落とされた原爆とほぼ同じのTNT換算で15キロトンになった。
 そしてガンバレル(砲身型)では、野砲に多く使われる口径15cm程度に縮めるのは困難だった。

②リニア・インプロージョン方式の開発
 何とかインプロージョン(爆縮式)で、臨界量の少ないプルトニウム239を使用し、核砲弾を作れないか?
 それを解決するために採用されたのが、リニア・インプロージョン方式(図10)である。従来のインプロージョン(爆縮式)とは以下のような違いがある。
・プルトニウムコアが、球体から回転楕円体に変わった。
 コアを球形から回転楕円体にすると、中性子の放出量が多くなり、結果としてより多くプルトニウムを詰め込んでも臨界になりにくい。そして爆発の衝撃で回転楕円体を球体に成型し、尚且つ圧縮して超臨界にする。ガンバレル(砲身型)とインプロージョン(爆縮式)を足して2で割ったような構造をしている。
・信管の数が、32・60・92個から僅か2個(両端のみ)まで減らされた。
 信管を2個まで減らすことで、信管を起動する電力や制御がより容易になった。ただし爆弾の爆圧を迂回させて廻り込ませなければならないので、そのための特殊な構造が必要である。信管の両側に遮蔽材を設けて爆圧を迂回させているらしい。
・全体として球形から円筒形に近くなり、小型化と軽量化が出来た。
 これで大砲の直径15cmにまとめ上げることが可能になり、W48では直径15cmで重さは58㎏しかない。
 最も小型の核弾頭は、W54であり、直径は27cmとやや大きいが重量はたったの23㎏である。
 ただ、これらの核砲弾は、やはりプルトニウム239を13㎏と多めに使わなければならなかった。そして爆発の圧力でプルトニウムコアにかける圧力やダンパーやリフレクターを搭載する厚さや重さが不十分なため、核分裂の効率が悪く、威力はTNT換算10トンから100トンクラスでしかなかった。ただ、大砲の打ち合いで味方に被害を出さないためには、このくらいの威力がちょうど良かったのかもしれない。
  
 核砲弾は実際に配備されたが、使用するウラン235やプルトニウム239が多い割に威力が少なく効率が悪いし、砲弾だと大量に製造しないと意味がないので、結局1990年代には全て使われなくなってしまった。効率の良い強化原爆や水爆を製造し、威力を調整する方式にしてミサイルに搭載したほうが、効率的だし合理的だからである。

③リニア・インプロージョン方式の補足
 プルトニウムコアを爆発の衝撃で回転楕円体を球体に成型(図11.2)し、尚且つ球形に圧縮して超臨界(図11.1)にするには、爆発の速さと圧力とその方向を上手く調整しなければならない、その圧力かけ方は複雑(図11.3)である。
 今まで公表されているリニア・インプロージョン方式(図10)では、圧力が(図11.4)になってしまいプルトニウムコアが、球形に圧縮できないのではないか?


 圧縮するためには爆発の方向と圧力を調整するための爆縮レンズ(図12)が必要ではないのかと思っている。火薬の爆縮レンズか、間に隙間を設けるエア(空気)レンズかは分からないが、調整する部材は必要なはずである。
 中性子発生装置をどこに組み込んであるかも不明だ。ポロニウム210とベリリウム9のイニシエーター(中性子発生装置)ではメンテナンスが大変だし、静電加速器による中性子発生装置では流石にスペースと電力を搭載する余裕がないと思う。ひょっとしたらプルトニウム240などの自発核分裂を使って、早期爆発による中性子を利用しているのかもしれない。

 

本の紹介・・・日本の食料自給率40%と言われているが、実際には食料の輸入は止まっても石油や肥料の輸入はそのままという、あり得ない前提だという事を指摘している。