今週の刃牙らへん/第65話 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

第65話/打顔(だがん)



加納に耐久力を疑われた勇次郎が持ち出したのはランマーなのであった。


このランマーだが、実物の、実在のランマーを使用し、しかも名前もそのままのため、メーカーの三笠産業がSNSで反応するというじつに楽しい事態も起きている。さいきん、Xすさんでるから、もうずっとこういう話題でいいな…




 

 



立位で顔にランマーをセッティング、ブリッジの要領でそのまま仰向けになり、ストライダムがスイッチを押す。ランマーって、押したぶんの反作用のちからはどこにいくのだろう。支えはストライダムが担っているが、当たり前だが等しいパワーで抑え込んでる様子はない。理論的にはなにもしないで置いておくだけで仕様通りのパワーが出るのかな。

そこらへんはわからないが、とにかく持ち手はストライダムだ。結局スイッチを押したり、もろもろはストライダムがやるのだから、セッティングも任せれば良さそうだが、なんか歯医者みたいになっちゃうし、それだとストライダムに主体性があるようにもなるし、勇次郎は気に入らなかったのかもしれない。今回の相手はあくまでランマー、ストライダムはサポートなのである。



勇次郎が敷石にあたまをのせたものだから、枕にしたそれにひびが入り始めている。衝撃で勇次郎の手足が踊る。ということは力んではいないのかもしれない。かと言って固定されていては消力でもなく、頭蓋骨のかたさのみでこれを受け止めている感じだ。もはや、格闘技術や肉体の強さなど無関係、骨のかたさだけでランマーに耐えるのである。


いつものパターンで加納がファミレス後日談。異様な光景に笑いそうだが、現場ではとにかく顔がひきつる感じだろう。どうなったか。もちろん勇次郎は立ち上がる。といっても、終わってから立ち上がったということではない。打たれながら立ち上がる。ちょうどセッティング時とは逆向きに、ブリッジでせりあがる。つまり一時的に首のパワーだけでランマーの衝撃を受けていることになる。が、勇次郎を知るものとしては、寝ているよりこっちのほうが楽だろうなという気がする。仰向けでは筋肉とか関係ないから。


そのまま勇次郎は直立、真上を向いたままポケットに手を入れてしばらく顔面でランマーを堪能する。

やがてランマーは稼働したまま落下。加納は勇次郎の顔を指差してたまげる。真っ平になっているのだ。そして勇次郎は頬に思い切り空気を入れるあの動作で顔をもとに戻す。(ああやって戻すンだ…)という加納の反応がおかしい。こむら返りを起こしたときにぶるぶる降って戻すあの感じかな。


無抵抗をいいことに、図に乗りやがって…ということで勇次郎の反撃。真上からの拳でランマーは破壊されるのだった。



つづく



鼻の骨とかどうなってんのかな。やっぱもうふにゃふにゃなのかな…。しかし目は…?


顔が平らになるのは、その見た目の衝撃こみで、またそのあとの顔を戻すビックリ人間しぐさこみで、それだけの打撃であり、勇次郎はそれに耐えることができる人間なのだということだろう。ただ、「平らにはなるんだ」という発見もここにはある。顔が少し汚れる程度の漫画的表現で立ち上がる、とかではなく、顔はたしかにつぶれるのだ。要するに、「つぶれないほどの顔面である」ではなく、「つぶれるほどの衝撃だったが大丈夫」というのが今回描かれたところなわけである。


組み技の現場にいたことがないのでわからないが、レスリング系のひとだと耳とともに鼻もつぶれているひとが多いのかもしれない。それは、つぶれてそうなるのか、それとももともとつぶれやすいやわらかい鼻のひとが有利な結果なのか、ともかく、勇次郎がそういう鼻だったとしても不思議はないかもしれない。鼻血も出てないし。

だが、それでも、あんな印象的な絵で顔が平らになる。攻撃に対して、耐久力で弾き飛ばすのではなく、たしかにそれは攻撃としての効果をもたらし、その上で勇次郎にとってそれはなんでもないことなのだと、今回はそういうはなしなのだ。これは、意外というか、勇次郎も考えてみれば刃牙戦や郭戦では出血してたしな、ということが思い出される。漫画としては、漫画なんだし、勇次郎なんだし、「肉体になんの反応もなく弾き飛ばす」は認められると思われるところ、刃牙的なリアリズム表現は勇次郎においても発動するのである。


ただ、書いたように、勇次郎もそういえば出血してたことあるよなという想起はありつつも、ぼくでは、郭戦でのあれは初見時けっこう驚きだったような記憶もある。やはり勇次郎には、「こう殴るとこうちからが通る」という、物理法則的な意味でのリアリティがあまりない感じがしていたのだ。一連の「勇次郎人間化計画」描写の流れでいえば、これはそういうことと思われる。結局のところランマーですら勇次郎は耐えてしまう。だが物理法則を無視して「なにも起こらない」のではない。ちゃんと顔は平らになる(それじたいが物理的に正しいかいまは問わずにおいて)。リアリティは、ここでは勇次郎なりのかたちで出現しているのである。


続くランマー破壊は「理不尽」という煽りこみでいかにも「範馬勇次郎」だが、これは、近頃身につけた社会性とバランスをとるかのような範馬性のように見える。だがそうだろうか。ランマーは、加納の疑いを受けて勇次郎が用意した。つまりランマーとしては、急に呼び出されて仕事させられたかと思ったら破壊された、という状況で、こうみるとこれはたしかに理不尽ということになる。しかし、これをランマーとの試合と考えるとどうだろう。以上の流れを知らないものがみれば、これはたしかに「無抵抗をいいことに」ということになるのである。


とはいえ、ランマーには意志表示ができない。したがって、連れてこられたこと、また勝手に試合を組まれたことじたいが、そもそも「無抵抗をいいことに」の状況ということになる。だから勇次郎はじしん抵抗なく、ランマーにとっては最高の条件で攻撃させたのである。勇次郎がのちに「無抵抗をいいことに」と付け加えるのはある意味範馬的演出にすぎないのであり、勇次郎の無抵抗はそもそも無理に連れてこられたランマーへの配慮なのである。そして、こうでもしなければ、「わがままを押し通す」ことが強さである勇次郎において、今回のような状況は成り立たない。なぜなら、通常であれば、攻撃を受ける前にランマーは勇次郎によって破壊されているからだ。加納の疑いから、どうやればランマーの攻撃を正式に受けるか考えれば、おのずとこの物語になる。それは、試合成立時点でこちらに負い目がある状態、意志表示できないランマーを無理に連れてくるという関係性以外ないのである。「無抵抗」なランマーと無理に試合をしようとしているのだから、勇次郎としてもここは配慮しなくてはならない。その結果、ほんらいであればただランマーを破壊して終わりのところ、加納の疑問にこたえる耐久力テストが実現するのである。











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