すっぴんマスター2015‐読書 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

さーて、毎年恒例のがっかりタイムですぞ。


毎年決意して結果行っていない、しかしそれでもまあいいかとう考えになりつつある「読んだ本を記事にしない」ということは、記憶に残っているかぎり今年もなかったので、またブログ記事をたどることでどんなものを読んだか振り返ってみよう。数えてみると、今年は井上ひさしの『言語小説集』から会田誠の『美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか』まで、ぜんぶで32冊の本を読んだ。NHKの100分de名著のテキストを2冊含んでいるので、若干ズルなところもあるのだが、個人的にはあのテキストはふつうに評論のようなつもりで読んでいるので、けっきょくのところこのカウントは僕じしんのためのものであるのだし、まあいいかなと。

この数字だが、もちろん多くはない。というか、端的に少ない。「比較的本を読むひと」の5分の1くらいの量といってもいいだろう。読書は量ではなく質だということはあるけど、それは量読んでいるひとがいえるセリフであって、「人間は外見だけではなく重要なのは中身だよ」と、缶ビール片手にポテトチップス食べてごろごろテレビを見ながらおなかをぼりぼりかいてるようなひとがいっても説得力がないのと同様である。しかし、それでも、去年の30冊をなんとか超えることはできた。ほんとうになんとかであって、テキストを含めてなおかつ、直近の会田誠があんなに読みやすくなかったらたぶんむりだったろう・・・。


当ブログが勝手にたてた分類規則にしたがってみていくと、その内訳は、日本文学が4冊、外文2冊、文芸批評がそのテキストを入れて4冊、哲学系が1冊(マルクス)、分類の難しいものをつっこむ文化枠が13冊、随筆が7冊、最近つくった音楽・美術枠が1冊となった。小説のたぐいがぜんぶで6冊というのは、いくらなんでもひどい。文化の分類にはたいていのばあい新書が入るのだが、おもえば今年はそういう衝動買いの読書が多かったのかもしれない。新書はだいたい、なんか手軽に読める知的本ないかなくらいの気持ちで買うことが多いのだ。併読しているものも数多く、そのほとんどが、あとちょっとで読み終わるのだけど、かなりヘヴィーなものが多かったので、その反動でこういう結果になっているのかもしれない。


月別でみると、1月は6冊ということでかなりのペースで読んでいたことがわかる。これは、要するに、年末のこの記事に向けて本気出して本を読むので、その過程でぎりぎり読みきれなかったものが、1月に読み終わって記事になっているのである。たぶん、いま読んでいる何冊かも来年の1月にはどっと放出され、記事になるはずである。同様の理由で11月と12月がそれぞれ4冊ずつ、だいたい週1ペースで読めているわけで、やはりこうした目標があるとないとではずいぶんちがうようである。この三ヶ月だけで半分くらいいっちゃってるんだから。一年でいちばん忙しい8月を中心に、6月から9月にかけてはほとんど月1冊ペースで、9月なんか1冊も読んでない。もうあんまり覚えてないけど、このころって仕事がずっと週6日で、ふつうに時間がなかったんじゃなかったっけな・・・。


こんな情けない数字では客観的価値など皆無だとはおもうけど、いちおう、こう、習慣なので、おそるおそるではあるが、今年のベスト本をあげていこう。小説なんかはもう6冊しか読んでないからそこから抽出するのもアホくさいが、とりあえずは平野啓一郎『透明な迷宮 』、朝井リョウ『何者 』、シャミッソー『影をなくした男 』をあげておこう。それ以外では吉田健一『シェイクスピア/シェイクスピア詩集 』、鈴木大介『最貧困女子 』、金子光晴『どくろ杯 』、内田百閒『ノラや 』、ねじめ正一『認知の母にキッスされ 』、村上春樹『職業としての小説家 』、福沢諭吉『丁丑公論・瘠我慢の説 』などが印象に残っている。このなかでベストとなると・・・うーん数が少なすぎて難しいな・・・。なにが決定的ということでもないが、記事への熱量ということで、小説では『何者』、それ以外では『職業としての小説家』ということにしておこうか。


傾向としては、今年は憲法の本をけっこう読んだということもある。といっても偏っていて、ひとつには内田樹の『憲法の「空語」を満たすために』という短いもので、ほかにすっかりはまってしまった長谷部恭男の本を3冊も読んでいる。いまも、もうすこしかためのものをということで『比較不能な価値の迷路』を読んでいるが、これも別に極端に難解ということもなく、時間があればするする読めるだろう。わかりやすくはなしをかんたんにしているということではないとおもうのだけど、知的で読みやすい、要するに「リーダブル」ということかもしれない。憲法をめぐってはいろいろ意見が対立して、考えるのもいやというひともいるかもしれないが、とりあえず入門書として『憲法とは何か』などはかなりオススメだとおもう。


世の中には数え切れないほど大量の本が存在していて、どんなに読書家でも、それをすべて読みきることはできない・・・ということはむかしから理解していた。しかしまあ、こう忙しくなってみると、ほんとにそうなんだなということが実感としてわかってくる。だからといって、時間は有限であるとさかしらに主張して、必要なものだけを読めばいい、などといってみてもはじまらない。やはり大人になってからは、人生の先を見越してあと何冊読めるか計算するような読み方ではなく、とりあえずいま直面している本をどうやって読むか、というスタンスになっていったほうがいいのかもしれない。その結果たくさん読めていればいいなと、そんな程度のはなしなのである。




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