- X-MEN:フューチャー&パスト [DVD]/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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この数週間でX-メンの映画を最新作まですべて鑑賞した。
もともと1、2、そして3作目にあたるファイナル・ディシジョンまではだいぶ前に見終えていたのだが、なぜかそれから見ていなかった。その次の公開作品が「ウルヴァリン」になるので、つまりこれまでのX-メンは出てこないので、「まあいいか」となってしまったのかもしれない。エグゼビアやジーン、スコットを失い、敵として最高に魅力的なマグニートーや美しきミスティークは能力を失い・・・ということで、なんかもうじぶんのなかでXメンは完結したような気持ちができていたのかもしれない。
しかし最近レンタル開始された「フューチャー&パスト」のポスターを見て、また見てみようかとなった。というのは、能力を失ったミスティークが大写しに中央に載っており、また粉みじんに砕けたはずのプロフェッサーも生きているようなのだ。レンタルしてみるとなると相方も見ることになるし、僕自身三部作を見たのははるかむかしなので、復習もかねてもういちど最初から見直すことにしたのである。途中だれそうになった瞬間もあったが、ここまで見てきてよかった。「フューチャー&パスト」はこの手のアメコミ実写系作品では屈指の傑作だったのだ。というか、Xメンにかんしては、えらそうな言い方になるが、なにかもう少し足りないというか、まだできることはあるはずなのにみたいな、隔靴掻痒の感覚がけっこうあったのだ。能力者といってもXメンの設定ならほとんどなんだってできるはずである。日本のマンガでは、こういう「能力者」っていう概念はもうけっこう当たり前で、ジョジョみたいな古くからある作品もあれば、最近ではテラフォーマーズみたいな変態ものもある。そういうのを踏まえて、たとえばそのテラフォーマーズでいえば、当初は虫、その後人間より小さい生物全般に変態可能というふうに設定は変わってきたが、それでも、生物がまず思いつかれてなにができるかというより、なにができるかを考えてから生物を探し出しているようにさえ見えるときがある。要するに、なんでもやりたい放題なわけである。それなら、ジョジョに近い設定のXメンならもう少しいろんなことができるんじゃないかと、特に第1作を見たときには感じていたのだ。そういう感覚が最新作でついになくなったのである。
それだけではなく、敵というか、あの状況もよかった。大半のXメンはふつうの人間ではとてもかなわないレベルの戦闘力をもっている。なかでは主人公のウルヴァリンがいちばん身近な感じだが、シリーズ最強とおもわれる覚醒したジーン、つまりフェニックスをとらえたのはウルヴァリンなわけで(じっさい「フューチャー&パスト」の敵であるセンチネルの集団も、フェニックスなら倒すことができただろう)、じっさいあれに立ち向かえたのは彼だけだったことをおもうと、能力のつかいかたも適材適所なわけだが、ともかく対人間ではおはなしにもならない。エグゼビアは人間との共存を目指し、マグニートーは暗い覚悟のもと打倒人類を目指すわけだが、このふたりが互いにけん制しあっていなければ、どちらもあっさり人類を全滅させられるちからをもっている(げんにエグゼビアは操られてそうしかける)。だから、エグゼビアとマグニートーをリーダーにするふたつの組織の対立として基本的にたたかいは描かれるわけだが、ジーンみたいな例外を除くと、このふたりは相手がいなければひとりで世界を滅ぼせるちからをもっているのである。とすれば、相手がいなければ彼らは理想を実現していたのかもしれない。しかし本作で描かれたのは、そんな彼らが手を組んでも歯が立たない圧倒的な強さの敵なのであった。冒頭、そうでなくても基本無敵とおもわれるXメンたちが次から次へと殺されていく場面、あの絶望感はただごとではない。ちょっとしたネタバレにもなるが、かといって彼らが一丸となってセンチネルに立ち向かうわけではない。そういう場面もあるにはあるし、非常に素晴らしい戦闘描写で、僕はまき戻しもう一回見てしまったが、ともかく、そうした戦争状態に突入してしまった原因であるミスティークをとめようと、耐久力だけは誰よりも優れているウルヴァリンを過去に送り込み、「ファースト・ジェネレーション」のおはなしとも接続することになる若きプロフェッサーやマグニートーに協力を仰ぐというおはなしである。
そうした過去改変のおはなしにつきまとう問題は、未来に肉体のみを残したウルヴァリンの意識が過去のものと同調することで、過去と未来が同時進行するというふうに解釈されている。ウルヴァリンを過去に送り込むことで未来が改変されるなら、送り込みが未来のじてんで成立した時点で状況が改変される可能性は高い。そうでない場合、ではどの時点で未来は変わるのか、変わるとして、未来に生きているものたちの意識はどうなるのか。そのあたりの難しい問題も非常にうまく片付けられていた。そして、同時進行となることで、せまりくるセンチネルになんとか耐えつつ、ウルヴァリンの成功を祈るという図式も完成した。ちょうど同じ時間のなかで作戦を行っているものと同じ状況になったわけである。たとえばドラゴンボールのセル編では、未来の改変ということはない、というおはなしになっていた。つまり、いまウルヴァリンが過去にいってミスティークをとめ、戦争を回避しても、戦争が起こった時間と起こらなかった時間が並行して存在するというだけで、彼を送り込んだ時代にはなんの関係もないというものである。しかし本作では時間軸は一本として想定されている。だから、作戦が成功すれば、戦争のあった時間軸というのは消滅する。したがってそこに生きたものたちの意識も消えてなくなる。だから彼らは、彼らじしんの護身のためではなく、未来をあるべき姿にもどすという使命感に突き動かされてたたかっているわけである。ウルヴァリンはどうも過去の彼自身の肉体に憑依するようなかたちで行動している。だから彼以外のものは、戦争を体験していないのだ。
今回からの新キャラとしてのクイックシルバーという少年の描写も、通過点でありながらたいへん凝ったもので、彼の活躍するところもまき戻してもう一回見てしまった。調べてみるとどうやら彼はマグニートーの息子である可能性が高いようである。少なくとも原作ではそうであるようだ。セリフにもそれをにおわせる箇所がある。これがファンサービスに終わるものかどうかわからないが、父親があれなわけだし、彼もまた究極レベルの能力の持ち主なので(そうとうにすばやく動いているときもどうも本気を出していないような感じがある)、ぜひ今後につなげてほしい。
まああんまり語れるほど見てはいないので、ここではとりあえず鑑賞したということの記録にとどめておくが、しかし回を追うごとにシリーズはおもしろくなっているので、次も期待している。「SAMURAI」なんかのじてんでは正直だれてしまったが、見続けてきてよかった。ウルヴァリンも魅力的だけど、プロフェッサーとマグニートーがからんでないとね・・・。スケールという点でもやっぱりこのふたりが最強だよ。