別冊少年チャンピオン創刊! | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

別冊 少年チャンピオン 2012年 07月号 [雑誌]/秋田書店
¥550
Amazon.co.jp

6月12日、別冊少年チャンピオン創刊。

少年チャンピオンのほうでもかなり気合をいれて宣伝していたので、知っているひとも多いかもしれない。

僕は、わりと、というかかなり、これを楽しみにしていた。

まず目玉となる作品は、板垣恵介原作・山内雪奈生作画、バキ外伝『創面(きずつら)』だ。

もちろん、この山内雪奈生というひとは、同様にしてバキの外伝で、花山薫を主人公にした「疵面」の作者である。

しかし、かなりの盛り上がりを見せていたところで急に連載が中断、何度か立て直そうとがんばったみたいだけど、とりあえずそれはなかったこと、あるいは保留にして、新しく、花山の中学時代を描いたこの作品の連載が開始されたということだとおもう。

しかし、あの急な中断は、けっきょくのところなんだったのだろう。

花山とグランドマスターがたたかうところに、花山以上かとおもわれる素質の持ち主、レックスがあらわれて、人間離れした攻撃をくりだしていく。しかも、強力なグランドマスターの攻撃もきかない。なんできかないのかわからない、そうグランドマスターは悩むのだが、やがて、謎を解き、納得する。と、そこで連載が終わってしまったのだった。

おぼろげな記憶だが、チャンピオンREDだかなんか、月刊の雑誌で連載されていた疵面は、人気が出てきたのか、チャンピオン本誌に移動してきたのだった。つまり、週刊になった。たぶんここに、作者のほうで創作法そのものを変えなければならない事態がおとずれたのだ。ぜんぶ想像ですけど。週刊連載っていうのは、素人目に見てもたいへんな仕事だ。物語を練るひまなんてほとんどなくて、ほとんどの作家が、選択的にではなく、やむを得ず、その場その場の力技で、即興的に仕上げていかなくてはならなくなるものかもしれない。とりわけ、板垣恵介には、それが原動となって、物語の緊張感を高めているというぶぶんもある。

まあそうなると、先が思いつかないということは、プロでもあるかもしれない。グランドマスターが解いた謎も、来週のじぶんに任せて、とりあえず今週ぶんを仕上げる、というふうにしたのかもしれない。しかし、最初からプロットを練って、綿密に構築していったものであるならまだしも、物語が生成されていく動力そのものに任せて書かれていくものであるなら、たぶん、時間をあければあけるほど、どの展開も半端に見えてしまうかもしれない。そうして、たぶん、作者が真面目であればあるほど、次の展開は失われていってしまうのだ・・・というのはすべて僕の無責任な妄想ですが。


しかし、外伝の花山も本編以上の強さを見せていて魅力的だし、第一男前である。グランドマスター戦の続きを読みたいことはまちがいないけど、それはまあ置いておいて、花山の中学時代というのもかなりそそる。ふつう、あのような大きなキャラクターの生活の細部、要するに日常というのは、なかなか描かれないものだけど、新しい展開が楽しみです。


その他、クローバーの作者、平川哲弘によるクローズZEROⅡ、話題のブラックジャック創作秘話など。それに、『空が灰色だから』の阿部共実の新連載『ブラックギャラクシー6』、別冊木曜日のフルット、やっと定期連載になったバキどもえなんかは、個人的にはどれも小粒ながら好きな作品だ。


さて、創刊イベントとして、バキ芸人・天野ひろゆきと板垣恵介のトークが公開された。トークそのものもずいぶんおもしろそうだったのだけど、そこでバキ作者の板垣恵介が、「刃牙はあと10回程度で終了する」というような発言をしたのだった。

ただ、これは、「バキ」という物語が、というよりは、親子喧嘩が、という意味な感じもする。げんに、そういう証言をしているひともいるようである・・・。バキは実家のようなものなので、間をあけてまた戻ってくるかも、というようなことも同時にいっていたっぽい。

あわせて考えると、いま続いている親子喧嘩が、おおよそ十回くらいで終わりそうであり、ということは、それはまぎれもなく「範馬刃牙」という物語の終結なのであって、その意味では、バキはこれでおしまい、ということだろう。以前のバキ芸人との対談でも、親子喧嘩以降もはなしが続いていく可能性はある、みたいなことをいっていたように記憶している。いったん、バキを主人公にした物語は終わり、そのあと、たとえば放置されている烈が描かれることはあるとしても、とりあえずそこで本編は終了と、そういうことだろう。タイミング的には餓狼伝の新装版刊行も完了するころだろうし、チャンピオンでそちらが連載再開なんてこともあるかもしれない。


しかし、この親子喧嘩の結末はまだ見えていない、というようなこともいっていたらしい。結末が見えていないのに、あと十回ほどで終わるという枠組みが見えているというのは奇妙なはなしだが、これは勇次郎とバキ、それに梢江が、親子喧嘩の終わりが近いことを直覚したこととよく似ている。あれは、この世界の父である作者の感想だったのだ。そういう描きかたが危険なことは疵面が証明している。というより、週刊連載というやりかたじたいがそういう危険性を内在しているということかもしれない。だけど、そういう緊張感のなかで描いているからこそ、さきの予測できない、一回的な物語が生まれてくるんだろうなとおもう。