今週の闇金ウシジマくん/第222話 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

第222話/ホストくん②




かつてのホスト仲間と再会した高田。彼は隼人といい、いちおう、店長という名のもとに店を任されているらしい。

だが、その表情は浮かない。ちゃんとした許可をとってない違法店なのだ。


瑠偉斗というむかしの源氏名で呼ばれる高田は、じぶんも金融で働けないだろうかという隼人を、いちどは退けるが、「カリがある」ということで、社長に聞いてみると応える。


いっぽう、隼人の店のホストだろうか、流星という17歳のホストが女の子を連れて店にやってくる。法令では禁止されているが、店は一時すぎでもやっているという。看板をだしていない、古いビルの一室を借りたような、いかにもあやしいところだ。

店ではひとりの若いホストが「秀輝主任」という黒い男にものすごい怒られている。客よりさきに主任に酒をついでしまったらしいのだ。罰ということで、ホストは20万シャンパンを一気飲みさせられる。もちろん、客の注文ということで、金を払うのは客だ。仮に罰をくだすべきだとして、それを迷惑をこうむった側である客が払うというのはおかしいはなしだが、女は秀輝の「共同作業」ということばに負けてこれを注文する。かたわらでは流星が連れてきた客にじぶんの「弱み」を見せつけ、手際よく感情移入を促している。


そこには隼人もいる。珠理という、かなり隼人に入れ込んでいるらしい女についているが、表情は渋い。女はただしくホストクラブの客として、隼人の誕生日にシャンパンタワーを出すと約束するが、隼人はそれなら200万円まるまる現金でくれという。うそかほんとか、隼人は父親の病院代が300万円かかるとして、おなじく感情移入を誘うのだった。こうしてもっともらしく「秘密」を告白することで、両者はホストの仮構の物語を共有することになる。さらに、秘密を共有するのが客を含めふたりだけであるため、これを解決できるのはじぶんだけだという感情がやってくるにちがいない。そこには、他者からのたしかな承認のてごたえがあるのだろう。問題なのはその「物語」が虚構である可能性もかなり高いということだ。


夜が明けたところで、隼人は主任に呼び出される。よくわからないが、主任は店長よりもエライらしい。

そして、主任は隼人の顔以外をボッコにする。店を通さず客から直接金をもらおうとしていることがばれてしまったのだ。


解説係的に流星とシャンパンを飲まされていたホストがこれを眺めるところに、オーナーの慶次(よしつぐ)という男がやってくる。なかなか迫力のある男である。


どこをどのように伝わったのか知らないが、隼人が珠理にたのんだ金額がいつのまにか300万円ということになっている。というか、隼人はすでに現金で受け取ったのだろうか?

ともかく、罰金100万とあわせて500万円を隼人は要求される。計算がちがうと指摘され、オーナーは700万と修正。メチャクチャっすね。


地面にうずくまる隼人は「昔のヨシツグさんは違いました」となきながらいい始める。



「俺は『ニューロマンサー』の№1ホストの慶次さんに憧れてました!!


だから俺、慶次さんが店出す時ついて来たンですよ!!


今の店はホストクラブじゃないです!!

ただのボッタクリ店です!!」



仕事とし、憧れるだけに、隼人も矜持をもってホストをやってきたはずだ。しかし成り行きでやっているいまの仕事は、ぜんぜんホストではない・・・。高田との会話で見せた表情もある、これまでずっと考えていたことだったんだろう。


もちろん、この状況でそんなことをいって事態が好転するはずもない。オーナーは主任に「鼓舞羅を呼べ」と命じる。



そのころ、約束通り、高田は隼人のことを丑嶋に持ちかけていた。丑嶋は柄崎と仲良くゲームしてる。そして今度そいつを連れて来いといういうのだった。



つづく。




なんか、最後のコマの丑嶋と柄崎を見てほっとしてしまった。

べつに柄崎がかわいいとかそういうことじゃないけど。


ぜんぜん反省していないということで、オーナーは隼人を店に連れて行き、そのうえで「鼓舞羅」を呼べという。

つまり、反省させるために、「鼓舞羅」が必要だということである。

「鼓舞羅」は個人名だろうか?

暴走族とかにありそうな名前だが、隼人ひとりのために団体を動員するとは考えにくい。

そもそも、ただ拷問するだけなら、じぶんたちでやればいいという気もする。

どこまでやる気かわからないが、じぶんたちで手をくだしたくないとか、そういう理由かもしれない。

いずれにしても、隼人や主任のリアクションを見ると、なかなかおそろしいもののようである。

僕はここですぐさま肉蝮のことを考えたが、ハブという可能性もある。

どちらも丑嶋には含みがあるから再登場は不思議なことではないし、蛇の刺青をしている。

だがいっかいのホストクラブ経営者がヤクザを、それも人前で呼び捨てで呼びつけるとは考えにくい。

そうすると、やはり肉蝮大先生だろうか。彼には丑嶋よりもっとフィジカルな次元で法が通用しないし、汚い仕事も迷いなく遂行しそうである。

もしそうなら隼人が気の毒すぎる。



隼人がいうには、慶次も、むかしはこんなではなかったという。

いまの店はただのボッタクリ。

仮に虚構のものでも、お客に夢を見させて、つまり客との関係性のなかに各自固有の物語を共有して、みずからが「存在している」ということをはっきり自覚させる、そんなホストの仕事が、ここでは金を奪い取ることだけがさきに先行して、ただの「技術」になってしまっている。つまり、いま彼らのやっていることは、隼人的には、ホストとしてのスキルをぎりぎりのところまで利用しているだけの、ホストクラブ以外のなにものかなのだ。


ホストに関しては、僕個人は、まったく無知だが、いずれにしても、「虚構の物語を売っている」という点をもってホストを批判するのは、あたらないというか、なにかちがう気がする。もしそれが正当な批判だとすれば、「真実の物語」を話して聞かせたとき、これは解除されることになるが、では「真実の物語」とはいったいなんだろうか。たぶん、この「物語の真実性」みたいなところに、隼人が憧れる要因があったにちがいない。「虚構の物語」だとわりきって金をむしりとることだけ考えてしまえば、ホスト的スキルは動機から乖離してしまうし、かといって無垢に信じ込んだかりそめの「真実」を語り続けても、たくさんのお客に「存在の自覚」を与えるという、社会的価値としてのホストの役目は果たせないにちがいない。そしてこのバランスが美しくとれたときに、「憧れのホスト」が成立するのかもしれない。


まあ、そのへんの、「ホストってなんだろう」ということは、僕にはまさにこのおはなしを読んでかんがえていく以外ない。

隼人の「憧れ」た慶次とはどういうものであったか。

なぜ慶次は、そこからこのような様に陥ったか。

そして「鼓舞羅」とはナニモノか。

来週も楽しみ。




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