すっぴんマスター2010‐小説・評論等 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

いちおううちは書評ブログを自認しているのですけど、今年の読書量は、なかなか、ひどいものである。去年もひどかったが、今年はもはや読書家とか書評ブロガーを名乗るのもおこがましいレベルである。


冊数的には、1年間で24冊。内訳は、当ブログの分類規則にしたがうと、日本文学7冊、海外文学(キング含む)4冊、文芸批評1冊、哲学・思想3冊、対談1冊、随筆2冊、児童書(絵本除く)1冊、そして、文化という雑多なジャンルに5冊。昨年が33冊で、2008年61冊。年々活字離れがすすんでいっているわけである。


まあ僕はもともと読むのが遅いし、特にブログをはじめてからはそうした傾向が強くなっているから、読書量を自負するタイプの読書家と読書量で競ってもしかたない、というか、勝負にもならない。なので自分自身の読書の、計量可能な面での昨年対比をやってみる。つまり、各ジャンルの冊数を比較してみるのです。


で、昨年と比べて冊数が勝っているのは海外文学のみ(といっても1冊だけだけど)、あとは、ものによっては今年読まなかったジャンルとかもある。たとえば、今年はけっきょく1冊も英語の読書を完遂することができなかった。サリンジャーの「ナイン・ストーリーズ」がはんぶんくらい、それに「不思議の国のアリス」ももうほとんどおしまいなのだけど、ともかく、年内には読了できなかった。



ナイン・ストーリーズ―Nine stories 【講談社英語文庫】/J.D.サリンジャー
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ふしぎの国のアリス ― Alice’s adventures in Wonderland 【講.../ルイス・キャロル
¥693
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しかしぜんたいにわたって冊数が落ちているにも関わらず、昨年と比較して冊数が落ちていない、あるいは増えている分野というのは、たぶん、今年の僕における興味のあらわれということで見ていいとおもう。それは、海外文学以外では、昨年と日本文学、哲学、随筆である。つまり、哲学系の重い読書のいっぽうで、意外なことに今年は、あくまでも比率的にだが、よく小説を読んだ年といえるかもしれない。

(なんかおおげさなくちぶりにいやになってきた。3冊とか7冊とかでなにをいってるんだろうな・・・。あくまで昨年対比ということです)



そしてまあ、今年の小説ということになると、かんぜんに、2010年は高橋源一郎祭りでした。毎年のことながら内田樹にもお世話になったけど、今年はまちがいなくこのひと。というか、だから冊数がけっこういっているのかなあ。

まず4月あたりに『ゴーストバスターズ』が文庫化され(これはまだ読んでない)、5月には新作の『「悪」と戦う』、6月に『ペンギン村に陽は落ちて』、10月に『ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ』、11月に『性交と恋愛にまつわるいくつかの物語』がそれぞれ文庫化、なんかあったんじゃないかというくらい、僕にはあついできごとの連続でした。



ゴーストバスターズ 冒険小説 (講談社文芸文庫)/高橋 源一郎
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「悪」と戦う/高橋 源一郎
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ペンギン村に陽は落ちて (ポプラ文庫)/高橋 源一郎
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ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ (集英社文庫)/高橋 源一郎
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性交と恋愛にまつわるいくつかの物語 (朝日文庫)/高橋源一郎
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・書評‐「悪」と戦う

http://ameblo.jp/tsucchini/entry-10579100626.html


・書評‐ペンギン村に陽は落ちて

http://ameblo.jp/tsucchini/entry-10636840510.html


・書評‐性交と恋愛にまつわるいくつかの物語

http://ameblo.jp/tsucchini/entry-10732656190.html




このひとの小説は、なかなか、感想が書きにくいというか、つまりじつに小説らしい、「読んでいるときにしか小説としては存在しない」という意味での、小説以外でのこれにかかわるコメントを拒むようなところがあって、いざもっともらしい顔をして書評を書くとなると、僕はいつも、個人的な作品・作者との出会いとか、その周辺についての雑感とかを記してお茶をにごすかたちとなるのだった。でも、まあそれでいいんではないかとおもいます。どこかの書評に書いたけど、もし高橋源一郎の小説を誰かほかのひとにすすめなければならない状況に陥ったとき(どんな状況だか知らないが)、このひとがどんなにすごいひとか、どこがどうすごいのか、文学史的にどんな作家か、さようならギャングたちがどのようにすばらしいか、口を極めて、情理をつくして説明しても、たぶん効果はなく、むしろ、ペンギン村の解説のひとがいっていたように「すべてを台無しに」してしまう可能性すらある。だから、僕らは、「高橋源一郎の読者」という意味、“価値”を、熱を含んだふるまいに含ませて、ミステリアスに、しかし思わせぶりに隠匿し、くちごもってみせる、そうすることが、もっとも正解に近いのではないかとおもうのです。



さらに今年の読書履歴を調べてみると、4月から6月にかけてがもっとも読書から離れていて、三ヶ月で二冊(厳密にいえば二件の書評)、五月は一度も書評らしい書評を更新しなかった。そのときは、私事ではあるが、ちょうど店での位置が変わってもっとも大変だった時期であり、もちろんそれも理由のひとつだろうけど、その当の二つの記事が、4月29日更新のものが平出隆『猫の客』、6月15日が酒井健『バタイユ入門』であることを考えると、もしかするとバタイユにひっかかっていたというだけかもしれない。



猫の客/平出 隆
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バタイユ入門 (ちくま新書)/酒井 健
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・書評‐バタイユ入門

http://ameblo.jp/tsucchini/entry-10563942528.html


・書評‐文学と悪

http://ameblo.jp/tsucchini/entry-10691048105.html


・書評‐眼球譚

http://ameblo.jp/tsucchini/entry-10480742948.html




ジョルジュ・バタイユは、僕の今年のもうひとりの鍵人物だろう。というか、たぶん人生にわたっての鍵人物かもしれない。この関連でバタイユにたいへん重要な指摘を加えたモーリス・ブランショの、すぐ目についた文庫、『明かしえぬ共同体』を読んでいるところですが、これが涙目になるくらい難しく、さらにスピードをおとして読んでいるところなのである・・・。


去年は(といってもけっきょくとしをこしてしまったが)一年のまとめとして、かなり気合を入れてネバーランド論 の記事を書いたけど、今年ももしなんらかの重い記事をあげるとするなら、それはバタイユのかかわりになるはずだし、だとしたら、ブランショがバタイユの共同体を論じた『明かしえぬ共同体』は避けられないはずだし、というわけで、2010年の、僕の拙いブログ的総括は、たぶん来年書くことになります。



そのほかに印象に残っている本というと、まあウォーリアーズですね。



ウォーリアーズ〈1〉ファイヤポー、野生にかえる/エリン・ハンター
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児童書を、というか物語をこんなに楽しんで読むのも久しぶり。

すでに2巻も購入済みです。純粋な楽しみとして読んでいきたいな~