今週の闇金ウシジマくん/第204話 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

第204話/ヤミ金くん25




暴力の連鎖をくいとめるために甲本と榊原室長を説得しようとする竹本優希なのだが、その手には大金が握られている。彼は貧乏で金がなく、街をさまよっていたところを鰐戸二郎に声をかけられたわけだから、これは最初からもっていたものではなく、最近になってどこかから手に入れたもののはずだ。

カウカウ襲撃の際、榊原室長は丑嶋の通うスポーツジムを探っていた。いちおう、ダメモトってやつだろうか、丑嶋の隠し金はジムにあるんじゃないだろうかということで、清掃員のふりをして侵入したのだ。だけれど、なかった。

しかし優希は見つけた。榊原のほうに参加していたのかどうかはわからないが、とにかく見つけた。丑嶋の愛兎たちがまつられる動物霊園だ。


優希のはなしでは、金はまだいっぱいあるっぽい。甲本や榊原ははなしにのることになる。


柄崎や加納は優希を鰐戸側の人間と考えているから、協力させるのはむずかしい。そういうわけで、畑山を逃がして通報させることになる。しかし畑山は、足もしびれ、けっこうずたぼろに体力を失ってしまっている。だから、優希が彼を背負って国道まで逃がすことになる。三人は鰐戸に柄崎たちを車につめこんでおけと言われているだけであるから、その間甲本たちは時間稼ぎをしなくてはならない。榊原室長は緊張しつつも機転をきかし、ぎりぎりまで時間をかせぐ。榊原はコンビニから仕入れてきたという「新鮮で極上の」カップラーメンと、卵やモチなどを出す。一はよくわからないが、二郎や三蔵はけっこう喜んでこれを食べる。どうでもいいんだけど、唇のない三蔵はどんな感じでらーめんを食べるのだろうか…。



優希に救われた畑山は心底感謝しているようだ。優希はこれから鰐戸たちがどこにむかうかを教え、通報してくれとお願いする。畑山はこれを受けるのだが、別れたあとの彼の表情は微妙なものだ。彼は電話をするかもしれないが、それは警察ではないかもしれない。


榊原や甲本のふるまいに不信感を抱いた一は、トラックにもどって三人がちゃんと積まれているかを確認にいく。そこにはすでに竹本が戻っていて、ここでもまたうまいことごまかす。とりあえず、作戦は成功だ。三人は合図しあってそれをたしかめる。甲本や榊原がものすごいがんばるのは、優希が金をわたすと約束しているためもあるだろうが、奇妙な連帯感のようなものもあるのかもしれない。



鰐戸に指定された倉庫に丑嶋がやってくる。見たところひとりであり、片手には大きなバッグがぶらさがっている。


待ち受けるのはいきり立った鰐戸三蔵を正面に据えた鰐戸兄弟である。



「丑嶋ァーーッ!!!」


「声でけェよ。

鰐戸三蔵」



つづく。



ついに丑嶋と三蔵が接触した。

ふつうあれだけのことをされればトラウマというか恐怖の対象になるとおもうのだが、鰐戸においてはそうではない。唇を切り取られた、いまではヤクザの滑皮ですら、彼には「殺す」対象だ。

記号的な意味での暴力の価値(大きさ)というものは、基本的には他者が定めるものだ。中学生の丑嶋もこの原則にしたがって、金属バットをふるってみせた。だけれど、これを覆すだけの、他者の承認を得ていないプリミティヴな前暴力のようなものが、鰐戸兄弟にはある。それが、三蔵のこの狂気的な殺意だ。もし三蔵が、どんなに強い苦痛を与えられても恐怖を抱くということがないとすれば、原理的に彼には暴力の等価交換が通用しない。三蔵についてはどんな意味でも交換が完了することがないのだ。「ふるわれない」暴力が生成して交換するものは恐怖であり、いわば彼らは暴力を貨幣としてそれと等価の、相手のじぶんに対する恐怖を手に入れている。こうしたシステムこそがこのヤミの世界の秩序を保っている。しかし鰐戸三蔵にはそれがない。ここで丑嶋は、拳でも金属バットでもケツモチでも戌亥でも、なんでもいいけど、なんらかの方途を用いて鰐戸兄弟をくだすことはできるかもしれない。だけど、そのぶんだけ、三蔵の恨みは深くなる。それを制御する恐怖も、彼にはない。したがって、このやりとりのさきにまちうけるのは、どちらかの死なのである。


優希は畑山に警察への通報をたのんだ。だけど畑山の様子ではそういうことにはなりそうもない。三蔵と因縁のある人物でもあるし、回想のときの不自然な挿入もある。どんな過程を経るかはわからないが、滑皮の介入は不可避のようにおもえる。

優希の期待しているものは、もちろん滑皮ではなく、警察だ。あそこで誰を選んだとしても、うしろぐらい人物たちであるし、警察をよぶとはおもえないけど、どこか詰めが甘いという感じもする。つまり、まだなにかあるのではないかという感じがする。

丑嶋は大きなバッグをもってきているが、もしこれに金が入っているとすれば、いちど動物霊園にいったことになる。優希が全額もってきたとは限らないが、いずれにしても、なんらかのリアクションがあってしかるべきかとおもう。となると、あの中身は金ではない・・・少なくとも動物霊園に隠していた金ではないということになる。


いずれにしても、優希の独特の様子がそれをひっぱるのか、今週は特に、ひとびとのふるまいから扁平な印象をうける。発声されたことばだけが記述されて、本心がほとんどわからないという感じが強い。まだまだ続くのかなー。






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