今週の闇金ウシジマくん/第165話 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

第165話/楽園くん



G10のちからでついにオサレ皇帝たちの領域にふみこんだ中田。


街に出た中田は、それまでキミノリや田舎者くんとたむろっていた交差点にゴトと腰掛ける。ふと見ると、あたりには落ち武者カットのAZEMICHIコピーがいっぱいいる。今月のデザートでゴトはついにあの髪型を披露したらしい。ということは、あのクラブでの公開はやっぱりはじめてのものだったのだろうか。それを見たオサレ小僧たちがこぞってまねっこをしているわけである。「われわれは人をわれわれの像(かたち)の通り、われわれに似るように造ろう」(『創世記』)


ゴトは彼らに集合をかける。輪になって相談した結果、縦に一列に並んだぜんぶで五人の落ち武者たちが、「AZEMICHI列車(トレイン)」として街を闊歩する…!すごすぎる…!「ポオオオ」はアゼミチ列車への布石だったのか…。このなかにほんものの、ナチュラルなアゼミチカットがいたらもっとおもろいのに。真のお笑いへの道は険しいYO!



ひとネタ終えたゴトは中田を連れてショッピングに出かける。オサレ皇帝の買い物だ。ゴトのむかったお店は会員制の狭い店だが、年商10億をあげているらしい。シャツとパンツで35万だ。店長も歌舞伎者だけれど、オシャレが高じてすこしシャレにならない感じがある…。


まったく異なった世界を見せつけたゴトは、「ハイリスクハイリターン」を標語にして再び自転車の窃盗を中田に命じる。中田にはまだためらいがあるようだが、ゴトの言葉はいまとなっては以前よりさらに重い。中田はゴトの指令を受けいれ、実行していく。セッチャに続き、また新宿のマンションに届け物だ。そうしてたくさんの金を獲得していく。次から次へと新しい、すなわちオサレな洋服を手に入れ、じしんを更新していく中田は、雑誌の路上カメラマンからも評判がよい。地元のわけのわからない知り合いもその名を目にとめ、話題にするようにすらなっていく。


次にゴトが指示するのは、「ゴルフとかしそーな格好で」福生に出向き、受け取ったゴルフバッグを運ぶというものだった。バッグは不吉なほど重い。ゴトは「バッグの中身に興味は持つな」という。どう考えてもまともな仕事ではない。『高校アフロ田中』⑨巻で田中は、加藤の依頼で「荷物」を新潟まで運ぶという仕事をしていた(無免だけど)。けっきょく荷物の中身はたっちゃん(なつかしい…)にヤリ捨てられた生きた女の子で、逆恨みした彼女が新潟に逃げたたっちゃんをブッコロそうとして企てられたものだった…。



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加藤はドライバーと車を探し、ドライバーはなにも考えずに荷物を運び、荷物はなにも考えずに包丁をふりかざす…。ひとつの困難な仕事が、さまざまな人間の無感情のあいだに分業されて、実行されるわけである。重要なのはなにが実行されるかだけれど、知らないほうが円滑にすすむことがらというのもあるのだろう。中田は指示されるままに指定された車のトランクに「荷物」をつめこむ。その報酬は15万円である。田中だって10万だった。どう考えてもアレが入っているとしかおもえない…



いずれにせよ、スマグラー・“忍忍”・中田として裏で活躍する彼は、たくさんの金を手にして、読者モデル人気一位にまでのぼりつめる。彼の本名は中田広道というそうだ。


そしてついに、デザート誌の表紙をかざるとともにオサレ皇帝の仲間入りだ。オサレ皇帝は現在までのところ10人いるらしい。11人目に中田が選ばれたわけである。



(お母さん、俺やったよ!)



中田の夢の質、またその方法の当否はともかくとして、まあ事実目標に達したということはまちがいない。中田は半泣きだ。そこへ、見たことないなにものかがやってきて祝福のことばを述べる。知り合いらしい。しかし中田には誰かわからない。ナニ者か!?



「僕だよ。


田舎者だよ」



つづく。


びっくりするほどの急展開だ。まず、驚きのアゼミチカットの(部分的な)流行だ。もはやさきにオサレの感覚ありきではないのである。アゼミチがもし仮に、真にオサレでラディカルなありかたなら、あんなふうに他人とかぶってしまってはなんにも意味がないはずだ。さきに結論ありき、そこまでの道すじをあとから整備するという、いかにもニッポン的な現象が、こうしたところですら起こっているのかもしれない。


そして中田のスマグラー化だ。「考えない考えない」というところがあらわすように、そうした行いがなにから手渡され、なにに向かっていくのか考えず、ただ「あるものをA地点からB地点へと移動させる」ということのみに集中して、お金を手にする。もちろん、その行いが社会的な、他者との関係において、どうした意味合いをもつのか、中田は知らないし、知ろうともしない。それはどういうことかというと、その結果手にする大きな額の給与の“意味”を知らないということだ。すなわち、ここで中田はまったく子供がお小遣いをもらうのとかわらない感覚で金を手にしているはずなのである。給与が労働力という物体に支払われるものなら、それがいかなる価値をもっているか考えるとき、その労働がどうした働きで(仮に違法だとしても)前後左右のその他の労働と結びつき、関わっているか、把握している必要があるはずだ。それが中田には欠如している。あるいは、意図的に目に入れないようにしている。


しかしなにはともあれオサレ皇帝になったという事実は揺るがない。中田のサクセスストーリーそのままなら。これから女の子がいっぱいよってきて、誘虫灯に導かれるカメムシみたいにどうでもいい成金がよってきて、「うまい話」とやらが見えてくるはずである。


そしてそして、田舎者くんの第二形態である…。オサレがどうとか髪型がどうとかいう以前に顔が変わっている。これは整形をしてということでいいのだろうか…。



いずれにせよ、どこかに向かって動きだしたという感じはある。正直田舎者くんがこんなにぐいぐい物語に入ってくるとはおもっていなかった。それどころか、今週を見る限りでは彼関係でひと波乱ありそうである。



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