■『タテ社会の人間関係~単一社会の理論』中根千枝 講談社現代新書
- タテ社会の人間関係―単一社会の理論 (講談社現代新書 105)/中根 千枝
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「タテ社会」ということば(概念)のさいしょは、1967年発表の本書がオリジナルのようです。
なんか、じぶんじしんが職場でこのような状況にあるときにこれを読むってのは、まるで実例を見ているようで、笑えてくるな~。書評はあとあとになって検索エンジンから読まれることも多いとおもうので、時事的な、また個人的なネタは避け、独立した記事として読めるように意識してきましたが…。僕が新人で、まだ他者性というか客観性のあるうちに、いろいろ考えをめぐらせておいたほうがいいのかもしれない。
それはそうとして、まえがきにはこのように書かれている。
「著者の目的とするところは、現代の日本社会を、社会人類学的立場に立って分析すると、どのような解釈が成り立ち、それをどのような理論構成にもっていくことができるか、という試みにある」
ちょうど、ロラン・バルトが『表徴の帝国』で日本を扱ったように…、日本を材料として、これは社会人類学的にはどのようなことなのか、ということを書いたのが、本書ということのよう。タイトルに「日本」という言葉が入っていないのもなんだかおかしい。「タテ社会」という社会の構造がどのようなものか説明するとき日本を素材にしたら、みためとしてはほとんど「日本人論」となにも変わらなくなってしまったというところだろうか。
- 表徴の帝国 (ちくま学芸文庫)/ロラン バルト
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このような明察の書を評するとき、よく「時代をこえた、現代にも通じる名著」という書かれかたをされることがあるけれど、著者の眼力を賞賛するといった意味合いでならまだしも、僕は福沢諭吉を読んだときに強く感じたことだけれど、小説とかフィクションではない、こういった啓蒙的論文でそういった批評があるのはどうなのだろう。日本人論でなくても、ある分野における問題点をその時代で指摘して、それが後代においても共感をともなって通時的に認められるということは、その書物が発表されたのちでも問題はいっこうに解決していないことになり、そうなると、果たしてこれは良書ではあっても名著といえたのだろうかと。
¥693
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とはいえ、告発的なものではなくて、これまで「日本的」とか「日本人的」とかいった言葉で処理されてきた現象を社会人類学的見地から解析し、説明してみせたといったほうが正しい内容で、これが現代にも通じるものだとすればそれは、指摘された問題がいかに深く、本質的であるかということを示すものでもありましょう。つまり、フィクションについてはここでは考えないとして、こういった問題指摘型の論文(問題を指摘しない論文があるのかどうかはわからないが)が、「時代を越えて」「現代にも通じる」ものとして読まれるとき、著者の明晰と内容の優秀はもちろんとして(優秀でなければ残らないので)、同時にそこで指摘された問題がいかに本質的であるかということのほうこそ注目すべきなのでしょう。その書物が時代を越えて読まれることそれじたいが、指摘されたことの変わりがたさを示すわけであります。
人類学というとフィールド・ワークといったイメージがあるけど、この本の著者はどれくらいの実地調査を重ねたのだろうか?こういうことは、読みやすさと簡潔性を前提とした新書の弱みだなとよくおもう。著者じしんも似たようなことを書いているけど、より詳解なものを読みたかったらちゃんとした論文を手に入れるしかないのですよね。とはいっても「資格」や「場」などといった分析概念は刺激的だし、くりかえすように、現代にも通じるものでもありましょう。なかには「そんなものかなぁ」と首をかしげてしまうようなぶぶんもあるにはあったけど。
後半に出てくる「論理性の欠如」といったこともおもしろかったな~。アプローチのしかたはさまざまだが、日本人論として分類されるような書物はたいていこの結論に至っているという印象がある。書評などにおいても、感情が前面に出るばかりで論争は平行線をたどり、結局どこにもたどりつかないなどといった現象は現在でもアメニューのコメント欄などでウソみたいに見られるものであります。これは以前書いたように、「価値観」という殻にこもって弁証法的な議論(他人が相手とはもちろん限らない)を拒否したようなところが我々にはあるのでしょう。
・価値観は人それぞれという価値観
http://ameblo.jp/tsucchini/entry-10159270907.html
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