今週の範馬刃牙/第125話 | すっぴんマスター

すっぴんマスター

(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

第125話/歴史VS時空



ピクル対克巳がついにはじまった。唐突に現れ出たピクルを、克巳は鮮やかな急所五連撃でむかえうつ。舌根、雁上、稲妻、夜光、伏兎、それぞれに見事な技がきまる。神心会55000も「ワッ」と大喜びである。みんな克巳の技がちゃんと見えてるってのがすごい。古武術的な急所の呼称や位置もちゃんと把握しているようだ。有段者ばかりとは限らないだろうし、神心会の平均レベルってやっぱ高いんだな。

わずかにゆらぐもすぐに体勢を立て直し、口から襲い掛かるピクルだが、対する克巳は、一瞬の後屈立ちののち、基本稽古でもやるようにこれもまた完璧な金的蹴りをきめる。かんっぜんに決まってる。ふつうなら悶絶して少なくとも戦闘不能、悪ければショックで死んでしまうかもしれない。僕は、ちょうど踏み込んだところに回転後ろ蹴りをもろでもらったことがあるけど…あれはまじで死ぬかとおもった。十数秒のあいだ本気で呼吸できなかったし。


さすがのピクルもナニをおさえながら内股になって膝を合わせ、強風の日にスカート穿いてきちゃった女の子みたいになってる。だが特に陰嚢が破れたりとかはないようだ。そういえばピクルは烈のときもくらってた。痛がってるってことは、独歩みたいにからだのなかにタマを隠すとかその手の対応はしていないはずだ。ちゃんと当たってるのだ。となるとふつうでは考えられないくらいタマかフクロがじょうぶということになる。



もちろん克巳は油断しない。続けざま、屈んだピクルのあごに飛び膝である。あまりにきれいに、跳躍した足先から膝までが一直線になっているため、どっちの足がどうなってるのか一瞬わからなかった。これもモロだ。


通路でこの勇者を血まみれでむかえた主人公バキは、いちおうTシャツを身につけ、徳川さんと並んで観戦していた。克巳はあんなに強かったかと当惑を隠せない徳川さんに対し、バキは「強くなったのだ」と応える。



しかし…ピクルは倒れない!どころか、楽しくてしょうがないときのあのすさまじい笑みを浮かべている。


騒ぐ神心会一門のかたわら、終始渋い表情の烈はおもう。



(妥当な攻撃だった
これ以上は望めぬほどにッッ


しかし相手はピクル―――
恐龍紀最強!!


肉体の持つ才能は…ッッ


現代人の比ではない!!!)



フェイントもくそもない、ただの一発の蹴りが稲妻の威力で克巳を襲う。重さとか速さとかいう段階ではもはやない、爆発としかいいようのない、スーパーノヴァのような一撃だ。20メートルはふっとんだかという克巳を目にして、打撃がもたらす衝撃のアウトライン、限度・常識を言葉のように知りつくした神心会門下生たちは絶句する。克巳はいちおうの防御を成功させている。もろ手受けに膝をあわせ、盾のようにして蹴りを受けている。しかるにこのダメージ。受けが通用しない、というパターンは対花山のときにもあった。だがその衝撃はまるでダンプカー、空き缶みたいにからだぜんぶをぶっ飛ばすほどのものだ。全身に汗をかきながら克巳はゆっくりと立ち上がる。



(立ち上がれる身体―――に産んでくれた両親


立ち上がれる技術―――を与えてくれた父 独歩


立ち上がれる俺―――に育んでくれた母 夏江


4人の両親へ―――


感謝したい!!)



イメージが不可能を可能にする。

立ち上がった克巳の全身が無数の関節に分かたれる。


遠くに、ゆるく構えた克巳を目にするピクルは、野獣らしい身体的直観で敵が遊び相手ではすまぬものだということを悟る。その瞬間から微笑みは消えうせ、克巳は「遊び相手」から「餌」へと昇格したのだ…。


つづく。


うーむ、かっこいい。今週の克巳は冗談抜きでかっこいい。感謝するところとか、ふつうに鳥肌立ってしまった。決して文学的な方法とったりとか新しい手法を用いたりとかしてるわけではない、むしろベタなくらいなのに…そこらへんの大衆映画じゃこんな表現はむりですよね。このファイトが物語的にもかなり究極的な場所にあるということが伝わってきます。なんというか、いまのこの気分では、克巳以外の完成形が思いつけないというくらい、成長の最終段階にある気がしてくる。主人公、どうする。


克巳は着地した場所にそのまま構えている。まさか真のマッハ突きとは、飛び道具的に遠くから衝撃波で攻撃するものなんだろうか。鼓膜とかを。ついにそんな領域まできたか。でもオリバだって鼓膜は鍛えてなかった。ピクルだっていけるぞ。パンッと。ついでに神心会110000の鼓膜も破って、擬音はバシャアだ。


克巳のランクが「餌」へとあがった。これは最低でも烈と同評価と見ていいだろうか?となれば主人公はあのじてんではまだ遊び相手だったのか。だから勝ったときのリアクションがちがったのだ。バキが食われなかったのは、ピクルが肉を食ったあとだったからではなく、たんじゅんに餌と見られていなかっただけなのかもしれない。とすれば、次回ピクルは泣くのだろうか?好敵手=親友=餌という呪われた宿命が、ピクルに涙を流させるのだが…。


↓バキ関係最新刊、発売中です。

範馬刃牙 14 (14) (少年チャンピオン・コミックス)

グラップラー刃牙 18 完全版 (18) (少年チャンピオン・コミックス)

グラップラー刃牙 17 完全版 (17) (少年チャンピオン・コミックス)