今週の範馬刃牙 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

第96話/流るる涙



(音声によるあらすじ)

ガッ
メリ…
ブチィッ
プシュ…
エロ…
バクッ
モグ…モニュ…


「く…喰っとるッッ(もう…)」




「あひゅッ」


ズチャ…


通用しない…ッッ

俺の拳が…ッッ







…これだけでもだいたいあらすじわかってしまうってのは、ある意味すごいですよね。あひゅってなんだ。


烈が喰われたのは首の左側だった。前フリなしで咀嚼しはじめるピクルに、ストライダムたちもおもわずつっこむ。
烈はつかまれたまま腹に膝蹴りをきめるが、ピクルはさらに烈の左肩に噛み付き、食いちぎる。あひゅっ!という梶原一騎っぽい気合いとともに烈はピクルのテンプルに肘打ちをあて、なんとかピクルの手から離れることに成功する。
烈はみずからの拳技がまったくきいていないことに困惑する。相変わらず涙を流しながら烈の一部を食するピクルの原人間的欲動丸出しの姿に、百戦練磨の烈海王も肩から血を吹きながら愕然とする。
烈は靴というグローブを外し、拳足を露出してマジになる。烈の素足の足技がいかに危険か、バキ読者なら誰でも知っていること。


「キサマ…俺を喰っておいて…

泣くなッッ」



よくわからない言い掛かりをつけながら、烈は跳躍して固めた足先をピクルの首筋に刺す。


しかし次のコマでは、ピクルの張り手によって烈はあっさり地面に叩きつけられている。


「技術が…武術が…歴史が…ッッ

4000年に及ぶ時間が…ッッ

まるで通じない…!!」



中国拳法にじぶんの全存在を置いていた烈には大変なショックだろう。生き方を論理的に否定されたようなものだ。あまりの衝撃と悔しさ(哀しさ?)に、カンフー史上最大の天才、烈海王も涙を流す。


「よもや…武術(わざ)の通じぬ世界があったとは…ッッ

無念だッッ

アリガトウ…4000年…

もう技術は使用わない…

武が及ばぬを見ることはもうできない


烈海王…
皆伝を機に師より賜ったこの武名…ッッ

わたしの全てだったこの名を…ッッ

烈永周が護るッッ

父が与えてくれた名、母が与えてくれた名―

烈永周が烈海王を護るッッッ」




そして烈がとった行動は…、ぶちきれたいじめられっこみたいに、涙にまみれて絶叫しながら腕をぶんぶん振り回して突進する、編集部いわく「グルグルパンチ」というものだった…




きわめて写実的な板垣作品でよもやこんな漫画マンガした絵が見れるとは…。こんな烈、見たことない!ていうか見たくない!鼻水たらしてないのがまだ救い。


先週号で背骨がアレされたように見えたのは大丈夫だったのか。得意の頚椎はずしをしたとも考えられるけど…それならそれで、それなりのリアクションがありそうなものだ。ただうしろに反り返って、イテテテテッ!っていうぐらいだったのかな。完全に意識失ってるように見えたけど。



烈のショックは大変なものだろう。技がかわされたとか、上手く決まらなかったとかでなく、単純に通用しないのだから。きかないのだから。目前で神の不在が証明されてしまったのだ。


ピクルは烈を食べた。烈を体内に取り入れた。強い生物を選んで、それ以外は食べようとしないという彼の姿勢からは、生存のための食事というよりは、この「強きものを体内に取り入れる」ということに意味があるようにおもう。そのうち涙の意味と一緒に解説あるとおもうけど…。原始人を読解するには相当な知性…前提としての知識と柔軟な想像力が必要だろう。バキキャラでこれを解説できるのは勇次郎くらいしかいないけど、ここには博士がいますね。解説要員かな。


すごい嫌な予感します。作者は、ここで烈を葬る気なのではないか。大切にしてるはずのキャラだから、というのは甘かったのかもしれない。死刑囚編のときも容赦なかったし。まあ、加藤も鎬弟も生きてはいたんですがね。僕はリアルタイムであれを読んでないけど、本誌で読んでいればけっこうびっくりしたんじゃないかとおもう。少なくとも、劉海王が勇次郎にざっくりやられたときは、ぞっとしました。なるほど、板垣恵介はこの、世にも厳しい世界を、厳しい姿勢で描いてるんだなって確信しました。



というか烈の本名って永周なんだなー。てっきり小龍だとおもっていた。あざななのかな?



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