■スターシップ・トゥルーパーズ2/STARSHIP TROOPERSⅡ
フィル・ティペット監督
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SF小説の金字塔、ロバート・A・ハインライン『宇宙の戦士』を原作にした『スターシップ・トゥルーパーズ』の続編。監督はポール・バーホーベンにかわって、前作で視覚効果を担当したフィル・ティペット。
このブログは、ディスりブログではありません。したがって、基本的な姿勢として、ネガティブな批判はしません。みずからの成長が第一の目的であるし、なにより匿名で行うディスほどかっこわるいものはないから。著名人ブログの荒らしコメントを見よ。
しかしこの映画に関しては…ひとことだけ言いたい。いや、なにを言えばいいのかはまだこのじてんではよくわからないのだけど…。僕は子供のころから『宇宙の戦士』が好きだったし、第一作の『スターシップ・トゥルーパーズ』も、かなり見事な出来だったと思っています。まず視覚効果…絵がすばらしいのは誰が見たって一目瞭然なのだけど、映画ぜんたいの、おはなしとしての作りかたもすばらしかった。これは今作でもいちおうモチーフになっている、大衆を操作する連邦政府のプロパガンダ、“個”の意味を失った匿名的存在としての兵隊。かたちは極端だけど、これは会社や、大きく考えれば社会にコミットしてみずからを規定のなかに投げ込み、じぶんよりはるかに巨大なその動きのなかでジョブアップをはかるという、誰もがやっている行為と実は等しい。規定する側からすれば個人は部品と変わらないが、それぞれの内側ではさまざな葛藤が起こっていて、そういう段階を踏んで登場人物は強くなっていく。しかしあのロボコップのニュース番組みたいな…なんだあれは。コマーシャルみたいなもの?…が結局我々は駒にすぎないと逆説的に指摘することで、全体の皮肉っぽさ、社会批判みたいなものが上手く成立していた…というふうに僕は思います。
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しかしこの続編は…それがモチーフとなっているにも関わらず、ぜんぜんおもしろくない。ずっと似たような映像ばかりで抑揚に欠ける…というのはたぶんある。『ヒドゥン』と『エイリアン』を混ぜたようなありがちな設定も、問題なのかもしれない。しかし見終わったあとになんにも残らないこの感じは、いったいなにごとか。
あんまり長くかいてもアレなので短くまとめると、これは結局、彼らがくみこまれ、その内でふるまう“連邦”や、敵の全体みたいなものがほとんど描かれず、なにか小さい物語に終始してしまったことにあると思う。前作では、主人公(ジョニーだっけ?)の、いち兵隊の“個”のおはなしとして語られながらも、彼の小ささは痛いほど伝わってきたし、果てのわからない連邦や敵の全体もしっかりと描かれていた。だから、同様にして“会社”や“学校”、“社会”や“世界”に規定され、そのなかでの成長を目的のない生の唯一の「目的」としている僕らは、上手く映画のなかに入って意識を付託することができた。映画のおしまいでは階級のあがったジョニーやその彼女を目にして希望も感じられたし、また同時に実は“個”としての意味を失っている彼らの存在の皮肉をため息まじりに外から眺めることもできた。だが今作では、はじまりとおしまいに例のコマーシャルを挿入して、「操作される大衆」というものをテーマとして掲げながら、実感としてはぜんぜん、なんにも伝わってこないのだ。監督が視覚効果出身だから、映像にこだわりすぎてるのかというと、前述した通りそういうわけでもない。あの全体が暗い感じは…なにか別のモチーフ、比喩なのだろうか…。からだのなかのエイリアンというのもなにか含みがありそうではあるけど…。いまのところはわかりません。
ちょっと待ってよ、オマエ、ココ見逃してるよ。この映画はココがいいんじゃないか、とかあったら、遠慮なく指摘してください。というかむしろお願いします。
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