坂本龍一 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

坂本龍一というと僕世代(±10くらいいくかな?)の人はたぶん大ヒットしたenergyflowのことを考えると思います。僕がピアノを弾ける→坂本龍一が好きだ、となると、だいたいこの曲がはなしに出てくるのです。もちろんこれだって悪い曲じゃないし、名前とイコールになるような作品のあることはある程度以上の実力があるクリエーターなら当然のことなのかもしれないけど、僕は心の狭いアリンコだから、うんざりきてしまうのです。村上春樹→ノルウェイの森、m-flo→come againなんかもしかり。本人が言っていたからといって錦の御旗とするわけではないけど、坂本龍一じしんもこの曲がヒットしたのはものすごく意外だったそうです。

それじゃあどんなのが好きかって、『~時代』みたいなマニア用語を僕は知らないからうまく言えないんだけど、「千のナイフ」から「ラスト・エンペラー」あたりということになりそうです。ここにあてはまらない曲にもすばらしいものはたくさんありますが…。キリないので。いま聴くと当時最先端をいっていたYMOの延長にある(と思われる)フュージョンっぽいいかにもな電気サウンドには古臭さも感じますが、ちょっと僕のような凡人には想像もつかないくらい、この時期は芸術的インスピレーションの頂点にあったんじゃないかと思います。ピアノを始めたころ、これらの曲からどれだけのことを学んだか…あるいはなにも学んでいないか、本人にもよくわかりませんが、とにかく大好きだったことは疑いなくて、友達にも無理矢理聴かせまくっていました…(みんなごめんな)。
僕が最初に弾けるようになったのは『戦場のメリークリスマス』でした。これ知らない日本人はいないと思うけど…。まだ指づかいもよくわからなく、左手も右手も区別なく同時に動いてしまうような状態のまま僕はこの楽譜に向かい合い、とにかくもう、力任せにごりごり練習しました(この表現、すごい正しいと自分でも思います)。同じメロディのくりかえしが弾き手の加減でいろいろ表情を変えるのがおもしろくて、いろんなバージョンのものを聴いてみたりしました。「戦メリ」は現在の坂本龍一のイメージにかなり近い、ピアノらしい曲だけど、この当時の音楽全体はいま聴いてもすごい冒険していて、かつ名曲ばかりです。「千のナイフ」!このあいだ初めてピアノ版を聴いて、同時に楽譜も手に入れましたが…やっぱりこの曲すごいです。「戦メリ」もそうだけど、坂本龍一は少なくともメロディの上ではオンビート丸出しで、たぶん音階なんかもアジアの民俗音楽を意識していて、意図的に「中国っぽく」していると思います。それであるのにビートがものすごく跳ね
たものだから…メロディの美しさも比類がない。こんな不思議な感覚を与える音楽を僕は他に知りません。「チベタン・ダンス」とか「黄土高原」も同じタイプですね。よく弾きました。

…坂本龍一について語ろうとするとどうしても個人的なピアノの思い出話になってしまうなぁ。でも、ここ二枚使いでループしたらかっこいいんじゃない?と思うような部分も多くて(「ネオ・ジオ」のイントロとかね)、サウンド面での古臭ささえ気にしなければ、いまでも十分聴けると思います。