内閣府が、10年程度の移行期間後に幼稚園と保育園を統合し「こども園」を設立する案を示した。


 こども園は親が働いているかどうか関係なく、その地域に住む子どもたちが皆入れる施設だ。スウェーデンの就学前学校に似ている。これにより幼稚園教諭と保育士の資格を統一する。


 では施策の中身をみてみよう。まず幼稚園と保育所の違い。


・幼稚園(文科省所管) 「幼児教育の提供」、「定員充足率69%」、「13526ヶ所(09年度)」、「3~5歳児を対象」




・保育所 (厚労省所管) 「保育を提供」、「2万6275人の待機児童数・23068ヶ所(10年度4月1日時点)」、「0~5歳児を対象」




 このように、幼稚園と保育所では制度の中身が全く違う。管轄や定員充足率など。幼稚園は専業主婦が多く、保育所は親が働いていたり病気だったりする家庭が多い。


 次にこども園創設にあたっての問題点だが、特に幼稚園側からの反発が大きい。こども園移行には、新たに3歳未満の児童を預かるため、受け入れ態勢作りや調理室の設置が必要だ。また長時間保育の実施には研修やカリキュラムの準備にしわ寄せがくる。つまり保育所機能を幼稚園にも取り入れなければならないのだ。よって幼児教育の質の低下が現場では叫ばれている。


 料金体系の変更も余儀なくされる。保育所は所得収入によって変わるが、幼稚園は一律で入園料金がかかる。幼保一体化で、保育所に預けようとする親には負担増になる可能性がある。


 最後にこども園創設の目的は、待機児童数の減少にある。都市部を中心に保育所に入れない待機児童数が多く、各方面から指摘がある。認可保育所の設置ペースよりも入所希望者の方が慢性的に上回っている。


 こども園創設は民主党政策の大黒柱でもある。将来的にはこども園を「子ども家庭省」に所管させる案も示されている。「コンクリートから人へ」を掲げた前鳩山政権。子ども手当てや福祉政策の充実を目玉に有権者からの支持を集めた。今ではバラマキ批判を浴びる羽目になっているが、国民は閉塞した自民党政治からの脱却を期待していた。しかし、火の車状態の財政事情で頓挫。論点はずれてしまったが、こども園創設によって何がしたいのか。何を求めるのか。そしてどのように国民に実感を得て欲しいのか。政府には説明責任を果たしてほしい。ただ単にこども園を乱立しても質の低下は目に見えている。10年程度期間後にするのも、政府側が慎重になっていると思う。時間は待ってくれない。待機児童数は都市部を中心に増加の一途だ。逆に幼稚園は定員割れで廃園になっているのが実情だ。今待機児童数をどう減らすのか。そのためには政官だけで決めるのではなく、現場の声を重宝するべきだと私は考える。