調査のための検査のご報告 | 鳥の保護活動/TSUBASAみらくる日記

調査のための検査のご報告

いつも、バードランや施設見学にお越しいただきありがとうございます。

先週、急ではございますがとり村(TSUBASA保護施設)を臨時休業させていただきました。

理由としましては以下の通りです。

当団体より、里子として一般家庭にお迎えしていただいた鳥が腺胃拡張症(PDD)を発症し、

遺伝子検査で鳥ボルナウイルスが検出されました。

これを受けて、当施設の鳥達の感染状況を把握するために、施設内の鳥を対象に

鳥ボルナウイルスの検査を行うこととしました。

当団体も鳥を多く飼育していることから、調査研究の一助になれればと考えています。

(ウイルス自体の解説はページ後方にございます)

そのため、検体を採取し検査を実施するための作業期間として土日を含め先週1週間ボランティアの皆様の

出入りも含め、施設を閉鎖させていただきました。

急な事でイベントにご参加予定だった皆様、ボランティアにお越しになる予定だった皆様には

大変御迷惑をおかけいたしました。

なお、これより検査結果が出るまでの期間一部施設空間の利用を制限させていただきます。

 

【とり村内、ご利用停止エリア】

1Fバードラン(鳥さん同伴のご来場が出来ません)

※商品販売ブース、施設のご見学、セミナー開催はこれまで通り行います。

 

【停止期間】

2017年10月25日~未定

施設の鳥達の羽数が多いため検査に時間がかかります。年内中に結果が出ればと考えています。

※   検査結果を受けて獣医師と相談後、開放日は決定いたします。

 

【今後のとり村について】

検査結果が出るまでには、まだお時間をいただきます。

今回の検査対象のウイルスは性質上、消毒による拡散防止が大変有効です。

検査の期間中ではありますが複数の獣医師と相談の元、施設の開放は継続いたします。

結果が出次第、速やかにホームページなどにて公開いたします。

バードランにつきましては、鳥を実際に施設内に入れることになりますので

念のため、閉鎖の形を取らせていただきますが検査結果によって再開予定です。

 

~施設にご来訪予定の皆様~

施設の鳥達には今まで同様、面会していただけます。

ただし万が一に備え、鳥達見学時にはパーカーの着用を義務づけております。

なお、これまで同様に手や足底の消毒にもご協力くださいますようお願い申し上げます。

 

~里親希望の皆様へ~

里親会は予定通り開催いたします。

開催日をご確認いただきお越しいただければと思います。

 

~ボランティアの皆様~

ボランティアの募集を再開致しますが、検査の結果が出るまでは以下の点をご留意ください。

・気になる方は着替えをご持参ください。

・作業の前後に手洗いおよび消毒を行って下さい。

・使い捨てのキャップ・マスクの使用をご希望される場合はお渡しします。

・可能でしたら帰宅されてすぐにシャワーを浴びる事をおすすめします。

これらを守って頂けますとご家庭の鳥さんへの感染リスクを十分軽減できます。

当施設は今までも、鳥ボルナウイルスの消毒に効果のある食器用洗剤、手洗い石けん、逆性石鹼(商品名:パコマ)といった

界面活性剤や中性電解水(商品名:AP水、ハセッパー)を使用しておりました。

また17年以上の運営の中で、亡くなった全ての鳥の解剖検査を行なっておりますが、施設の鳥達における

鳥ボルナウイルス感染が疑われる解剖所見はこれまでありませんでした。

それでもウイルスを100%予防できるとは限りません。

ご心配の場合は、検査結果が出るまでボランティアへのご応募はお控えください。

 

 

鳥ボルナウイルスにつきましては、近年、国内外で研究が進められてきておりますが、

このウイルスが発見されてからの歴史も浅く、まだまだ不明な点が多いのが現状です。

したがって、以下の解説は現時点で知られている限られた知見である事をご承知おき下さい。

 

 鳥ボルナウイルス(ABV)とは 

鳥ボルナウイルスは、体内で様々な組織の神経細胞に感染する性質を持ちます。

鳥ボルナウイルスは消毒用アルコールや界面活性剤で消毒が可能です。

 

鳥ボルナウイルスはオウム目やスズメ目を含む70種以上の鳥種に鳥ボルナウイルスの感染が

確認されています。

鳥ボルナウイルスは鳥にのみ感染すると考えられており、ヒトでの感染は見つかっていません。

感染率は小型鳥より中型・大型鳥の方が高く、日本では検査依頼のあった鳥の約5%で

鳥ボルナウイルスが感染していたとの報告があります。

 

 感染のしかた 

主要な感染経路は未だ明らかになっていません。鳥ボルナウイルスは感染した鳥の糞尿やそのう液中に

排泄され、それらを介した経口感染が最も疑われています。また、垂直感染(親鳥から感染)するという

報告もあります。

 

 症状 

感染した鳥のすべてが発症するわけではありませんが、発症した場合の症状は主にオウム目の鳥での

腺胃拡張症(PDD)による嘔吐、下痢、未消化便の排泄、食欲低下などの消化器症状、

運動失調や行動異常などの神経症状、毛引き症と言われています。

オウム目の鳥での発症が認められる事が多く、それ以外の鳥種の症状はまだはっきり分かっていません。

発症率は不明ですが、発症には鳥の免疫力も影響していると考えられています。

 

※感染(ウイルスが生体に定着)=発症(症状が出ること)ではありません。

 鳥ボルナウイルスに感染していても生涯発症しない鳥もいます。

 

 診断 

臨床症状、レントゲン検査および遺伝子検査で総合的に診断されます。

遺伝子検査の検体として、数日間の糞尿が用いられます。

 

 治療 

今のところ鳥ボルナウイルスの排除に有効な治療薬がなく、症状を和らげる治療が行われます。

 

今回鳥ボルナウイルスが検出された里子の鳥はいつどこで鳥ボルナウイルスに

感染したのかは分かりません。

TSUBASAに引き取られる以前かもしれませんしTSUBASAに保護された後かもしれません。

里子に出たどの鳥が発症したのか詮索することはどうかご遠慮いただきますようお願い致します。

 

今回の調査並びに、本報告文を作成するにあたり獣医師の皆様方に
大変お世話になりました。

TSUBASA顧問獣医師

眞田 直子先生
眞田 靖幸先生

TSUBASA獣医師
羽多野 優芳先生

アドバイザー
小嶋 篤史先生