検疫室へようこそ ~CHLを考える3~ | 鳥の保護活動/TSUBASAみらくる日記

検疫室へようこそ ~CHLを考える3~

前回の続き、解答編です。


Q1、悪さをするのに、抗生剤の効かない『基本小体』を

じゃあどうやって消すんですか?


Q2TSUBASAで、年に2回検査をするのは何のため?


Q3、よくクラミジアの時に聞く「ドキシサイクリン」ってなんですか?


Q4、具体的にクラミジアはどんな悪さをするの?


Q5、どうやって他の生き物にうつるの?


さぁ、長くなるので答えは次回。

CHLを考える3 でお会いしましょう。





A

『基本小体』は抗生剤では倒せません。

だから、基本小体になってしまったら体外にでていくか、

菌の寿命が来るのを待つしかありません。


悪さをするのに、消せない『基本小体』は厄介ですが、

その代わり増える事が出来ないという特長があります。

増えるためには一回『網様体』にならなくてはいけません。

ここがチャンスです!

体内の『網様体』には抗生剤が効くので、投薬をすればクラミジアを

抑えることができると言われています。

だから、薬が効くのは体の中でクラミジアの形が変わるのを待たないと、

いけないので、投薬期間はちょっと長くなります。

また、体外に出てしまった基本小体には消毒薬が良く効きます。

感染鳥が排泄した糞便はすぐに除去し、しっかり消毒すれば

他の鳥や人にはうつりません。


A2、検査で引っ掛かるのは『基本小体』だけ。

検査には、糞とちょっとの血液を使いますが、これは細胞外に出てきた、

基本小体を見つけ出していることになります。

『基本小体』に形を変えずにこっそり『網様体』の状態で、

体内に潜んでいるかも?しれません。

というわけで、隠れていたクラミジアが『基本小体』として、

姿を現す可能性があるので、それを繰り返しチェックするために、

定期的に検査をしています。

一般家庭でも、一回の検査で陰性だったからといって、

『クラミジアはいない!』と安心してはいけないのです。


A3

ドキシサイクリンはクラミジアに対して反応の良い抗生剤の名前です。

「静菌作用」のあるお薬です。

最初に聞いた時「殺菌じゃないの!?」と驚きました。

そう、殺すのではなく活動を弱めたり、繁殖力を下げる効果があります。

細胞内に潜む『網様体』にじわじわ、薬を浸透させるためにも、

やっぱりある程度の期間が必要です。

『網様体』をおとなしくさせることで、増える能力を抑えたり、

悪さをする『基本小体』に形を変えられないようにする効果があります。

クラミジアの薬は、殺す効果は少ないので、クラミジアという病気は

「退治」する病気ではなく「コントロール」する病気と言われています。

クラミジアが悪さをしたら、ドキシサイクリンなどの薬で、

『網様体』の増殖を抑え込んで病気を落ち着かせます。

ただ、風邪などで体が弱ったりストレスを感じると、

おとなしくしていた『網様体』がまた活発に動き出すので、

そうしたらまたコントロールするために投薬をする、といった具合です。


A4

これは、答えられた方多いかも?

クラミジアに決定的な症状はあまりありません。

他の病気を、重篤化(悪くする)すると言われています。

そもそも、太古の昔から野鳥とクラミジアは自然宿主として

上手に共生していました。

クラミジアの方も、生きていくために宿主である「鳥」が死んでしまっては

困るので上手に殺さない程度に栄養をもらっていました。

↑これを聞いた時、そうか!なるほどと妙に納得してしまいました。

共生、ですからね。


クラミジアが、コンパニオンバード界で問題になるのは、

やはり飼育下というのが特殊だからかもしれませんね。

と、言うわけで風邪っぽい症状や下痢便などをした時には、

クラミジアが根柢で悪さをしてるかも??と疑ってみてはいかがでしょうか。

また、細胞内に入り込むので肝臓や脾臓がダメージを受ける場合もあります。

早期発見が鳥達の健康に繋がります。


A5

最後に回してしまいましたが鳥から人、鳥から鳥への感染の仕方です。

これさえしっかり、押さえておけば薬の効かない『基本小体』対策もばっちり。

クラミジアが出たらしばらく他の生き物にうつらないように注意し、

投薬をしてクラミジアをコントロールしちゃいましょう!

体外に出ても消毒で、きちんと殺菌できるので安心してくださいね。

うつさない為の隔離です。


・感染するのは口移しで物を与えたり、換気のされていない部屋で、

長時間いたりといった時です。

・他の鳥が感染鳥の糞を踏んだり、舐めたりしないように気をつけましょう。

また、乾いた便からエアロゾル(感染したチリ)が発生するので、

人も鳥もそれを吸引しないようにしましょう。

・感染鳥がわかったら、その子の排泄物はしっかりと消毒して、

感染していない鳥と隔離するのが確実です。



さぁ、少し皆さまのお役に立てたでしょうか?

TSUBASAも、先日秋のクラミジア検査を終えたばかりです。

今回は陰性でした。

でも、安心はできません。

また春の検査まで、しっかり鳥達が体調を崩さないように管理していきます。


これからも『基本小体』が検出されませんよーに!!

もし、クラミジア感染していても『網様体』でおとなしくしててね