「よっしゃぁぁぁっ 総合優勝目指して、気合い入れて行くぞぉぉぉっ!」
「おーーーーっ!!」
「頑張ろー(*^▽^*)」

「何で朝っぱらからあんなテンション高いわけ・・・

特に惣一とつばめ・・・」
「さぁな・・・あー、かったる・・・」

「っおい! そこの低血圧コンビ! もっと気合い入れろよ! 

球技大会だぜ!?」

盛り上がる惣一・つばめ、そして割とノリノリな洲矢を

怠そうに眺めていた夜須斗と仁絵だったが、
惣一が目ざとく見つけて詰め寄った。
 

10月中旬の今日は、1日授業が休みで、

3年生のクラス対抗球技大会の日だ。

「つーか、体育祭からのスパン短くね? 

つい2週間前に体育祭やらされたばっかじゃねーか」

どんだけ運動好きなんだよ、と仁絵がため息混じりに言う。
ちなみに惣一たち5組は体育祭で惜しくも2位だった。

その悔しさもあり、惣一たちは雪辱に燃えているのだ。

「来月は文化祭あるからでしょ。

まぁそもそも3年生だけ球技大会ある意味もわかんないけどさ。」

受験突入の前の羽伸ばしとか・・・そもそも俺ら9割内部進学じゃん、

と夜須斗は欠伸をしながら応じた。
 

 

 

5人がいるのは教室。

黒板にはトーナメント表やリーグ表が貼り出され、

出場者の名前や集合時間の目安が一緒に書かれている。
種目は男子がサッカーとバスケットボール、

女子がバレーボールとソフトボール、

そして男女混合で卓球。
自分が所属している部活の球技には出られない。
5人の種目は、惣一とつばめがサッカー、

洲矢が卓球、

そして夜須斗と仁絵がバスケットボールだった。

「みんなー、開会式始まるから体育館移動するよー!」

教室に委員長の歩夢の声が響き、

5組の生徒がぞろぞろ体育館へ移動を始める。
惣一・つばめ・洲矢も続き、

最後に夜須斗と仁絵がまだどこかかったるそうに渋々後をついて行くのだった。
 

 

 

学年主任の開会の言葉と準備運動代わりのラジオ体操、という

さして面白みもない開会式が終わると、
各種目の会場に生徒たちがそれぞれ散っていく。
いよいよ、球技大会のスタートだった。
 

5組は洲矢たちが参加した卓球と、

女子種目のソフトボールが
昼休憩前最後の試合で負けてしまい惜しくも決勝には進めなかったものの、
サッカー、バスケ、バレーボールは順調に勝ち、決勝まで残っていた。



昼休憩終わりが全種目決勝戦だ。
体育館半面ずつで同時進行していたバレーボールとバスケットボールが、盛り上げるためか何なのか全面使用になる。
先にバレーボールが行われるので、夜須斗たちは待機していた。
目立ちたがりで派手な惣一・つばめのいるサッカー組に応援が集中していて、

体育館組の応援はそこまで多くない。
静かでいいな、と夜須斗がぼんやり思っていた時だった。

「わー! 間に合った間に合った!! 

うわ! バレーボール相手のマッチポイント!
頑張れー! ねばれー!!」

つばめが飛び込んできて、

バレーボールのスコアを見るなり声を張り上げた。
惣一も続いてやってくる。

「あ゛あ゛あ゛あ゛っ 惜しいっっ お疲れー!! 

あとはバスケの奴らがカタキ取ってくれるからなーっ」

惜しくも敗れたバレーボール組に、惣一が声を掛ける。

突然のけたたましさに夜須斗は顔を顰めた。

「ちょっとお前らサッカーは・・・?」

「は? 何言ってんだよ勝ってきたに決まってんだろ!」

優勝だぜイェーーイ!!と耳元で叫ばれて、

夜須斗はわかった、わかったから!と逃げた。
バレーボールが接戦だったため、サッカーの方が先に終わったようだ。

「っていうかカタキってなんだよ、惣一・・・お前出ねぇじゃん。」

奇しくもバレーボールとバスケットボールは4組対5組という同じマッチメイク。
惣一は力を込めた声で2人に言う。

「おい、夜須斗、仁絵! 絶対勝てよ!」

出場する2人より気合い十分、という様相である。

「無駄にでかいんだからこういうとき活躍しろよな! 

せっかく委員長含めてのっぽトリオ揃えたんだからよ!」

種目決めの際、なんでもいい、とやる気なく答えた2人の種目を決めたのは惣一だ。
夜須斗、仁絵、歩夢の身長はそれぞれ173、171、172で、全員170オーバー。
特別ものすごい大きい、というわけではないが、
そもそも学年の身長順で後ろの連中は大概バスケ部かバレー部で、バスケ部は出られないのだから
バレー部出身者を除けば3人は最も高いといっても過言ではないのだ。

「はぁ? でかいから勝てるってわけじゃ・・・」
 

「クスクス。まぁ、そうかもしれないけど」

んな単純じゃねーだろ、と言い返そうとした仁絵と夜須斗に、
一連のやり取りをニコニコ聞いていた歩夢が話しかける。

「夜須斗はともかく仁絵は、今まで手抜いてるみたいだから・・・

言っちゃおうかなー 最近のヒミツ♪」

「・・・は?」

 

楽しそうな歩夢に、仁絵が怪訝な顔をする。

「あるでしょ? バレたくないヒミツ。

例えば最近また水池先生の授業中・・・」

「・・・委員長、性格悪いんだけど。」
「この腹黒・・・」

ターゲットにされた仁絵だけでなく夜須斗も顔をしかめる。
そんな2人に歩夢は笑って言った。

「これまでの2試合、仁絵明らかに手抜いてるじゃない。
近くに来たの以外ボール取りに行かないし、走らないし。
勝っても負けても、本気でやってくれれば内緒にしてあげるよ。」

仁絵の肩をぽんと叩いてコートに走っていってしまった歩夢の後ろ姿を見ながら、夜須斗は苦笑した。

「・・・まぁ、事実だから言い訳しようがないね。」

「はぁ・・・しゃーねーな・・・」

バスケ本気でやると疲れんだよ・・・と文句を漏らす仁絵だが、

こう言われてはやるしかなかった。
 

 

 

そしてその結果は・・・

 

 

 

「す、すご・・・」
「すげぇ・・・すげぇよ特に仁絵!!!」
「あらら。効果覿面過ぎちゃったかな(笑)」

つばめ・惣一は諸手を挙げて喜び、

女子は歓喜の黄色い声を上げている。

歩夢は少し驚いた様子で笑った。
 

夜須斗は呆れた様子で試合を終えた仁絵にタオルを渡す。

「仁絵お前さぁ・・・」

極端すぎ、と夜須斗に言われるも、

仁絵はそれには答えずタオルを受け取り、逆の手で乱れた髪をかき上げた。

「あー・・・マジで疲れた・・・もういいわ・・・」

蓋を開けてみれば70対40というほぼダブルスコアでの圧勝だった。
そしてその得点は半分以上仁絵によるものだ。

元「天凰の女王」の名はやはり伊達ではない。
仁絵のケンカのスタイルは単純に殴り合いで勝つのではなく、
相手の攻撃を全て躱し、

自分はノーダメージ且つ、最小の手数で相手の戦意を喪失させる、というもの。
それを支えているのは仁絵の元来の飛び抜けた運動神経の良さ故の軽やかな身のこなしなのだが、
今回はそれが遺憾なく発揮された。

一度ボールが仁絵に渡ればドリブルで相手選手を2人抜き、3人抜きして必ずシュートまで持って行く。
そのボールも相手がドリブルしているところをいとも簡単に奪い、ボールキープさせない。
もはや無双といっていい状態だった。
 

 

 

「夜須斗もひーくんもすごいよ!! 優勝おめでとう!!」
「さっすが!!」
「お前らならやってくれると思ってたぜ!!!」

「はぁ・・・」
「それはどーも。」

見事優勝を果たした立役者の2人を、洲矢、つばめ、惣一が迎え讃えた。
他にもクラスメイトが入れ替わり立ち替わり祝福してくるが、
当の2人(特に仁絵)は、滅多にしない全力プレイで疲れたのか、
優勝した喜びはあまり感じさせずに、床に座り込んだままだ。

「ほんとにさすがだね。本気出した瞬間の空気はすごかったよ。」

5人の元に、歩夢がやってきた。
夜須斗と仁絵にスポーツドリンクを差し出し、自分も一口飲む。

ドリンクを受け取りながら、仁絵はムッとした顔で歩夢を睨んだ。

「誰のせいで本気出さなきゃならなかったと・・・」

「フフッ、そうだよね。ありがとう。」

 

白々しい奴・・・と、仁絵は独り言ち、夜須斗に声を掛けた。

「・・・にしても、やっぱバスケは疲れるわ。夜須斗、着替えて・・・」

「ちょーーーーっと待ったぁぁぁっ!!!」

教室で休もう、と続けようとした仁絵の言葉は、

突然乱入してきた人物によって遮られた。

「何!? 今このタイミングで着替え!? 休憩!? 

メインイベントがもうすぐ始まるのに!!」

「あ、海保先生だ!」
「うるさいのが来た・・・」
「休ませろよ・・・」

飛び込んできたのはニコニコの笑顔を携えた波江だった。

「メインイベントってなんだよ?」
「楽しいやつ!?」

「え? 惣一たち知らないの?」
「それってたぶん・・・」

惣一とつばめの問いに、思い当たる節がある歩夢と洲矢が説明しようとするが、

それは勢いのある波江の なんで皆知らないわけ!?という一方的な驚きの声にかき消された。

「説明はあとあと! 早く特等席行くよっ 

そこも席に限りがあるんだからっ」

波江は行く気ゼロの夜須斗と仁絵の腕を無理矢理掴んで引っ張り立たせると、その手で惣一とつばめの背中を押すという
見た目に反したパワープレイで5人を連れて行った。
俺は運営側だからまたねー、と手を振る歩夢に見送られながら・・・。

 

 

そして、着いた先は。



「おい・・・なんでこんなとこにこんなたくさん人がいるんだよ・・・」

連れてこられたのは部室棟の屋上。

屋上といっても、天井の低い2階建ての部室棟なので、さして高さはないし、柵もある。
普段は筋トレとかでたまに使う部活があるくらいの屋上に、

今日は試合を終えた3年生が大勢いた。

 

波江は柵から身を乗り出して、下を指さす。

「ここからはテニスコートがよく見えるからねー」

「テニスコート? 球技大会の種目にテニスはないよ?」

「生徒はね!!」

つばめの問いに、海保はフッフッフッ・・・とわざとらしく不適な笑みをして言った。

「そう、これから始まるのは・・・はーくんVS光矢! 

数年ぶりのシングルスワンセットマッチでーす!!!」

「えええええっ!?」

「確かあの2人って・・・」

「そう! 高校時代のダブルスペア! 夢の対決だよっ」

「なるほどね・・・だからテニスコートの周りは女子だらけなわけね。」
 

眼下に広がる女生徒の群れの理由に納得して、

夜須斗が物好きだねぇと苦笑する。

 

「つーか教師と校医の試合がメインイベントってどうなんだよ・・・」

呆れ顔の仁絵に、洲矢が説明する。

「委員長たち運営委員会が夏頃からずーっとお願いしてたらしいよ。
風丘先生も始めは『生徒の球技大会だから』って乗り気じゃなかったみたいだけど、
雲居先生が割とあっさりOKしたのと、

女子の熱気に押されて、最終的にはOKもらえたって言ってた。」

「でも、確かにどっちが強いのかは気になるよな! 

夜須斗、どっちなんだよ?」

惣一が一応テニス部である夜須斗に問うと、

夜須斗は知らないよ、と返す。

「あいつらOBだけど顧問じゃないし。

学生時代の噂は多少聞いてるけど、実際打ってるとことか知らないよ。」

「ねぇねぇそれでね!!」

波江がキラキラした笑顔で5人に提案する。

「ただ見てるだけじゃつまんないから、賭けしよう!」

「「「「「賭け?」」」」」

怪訝な顔をした5人に、

波江は慌てて手をひらひら振って、もちろんお金じゃないよ!と否定する。

「勝敗を、ゲームカウントも含めて予想して、見事的中させた人が!
他の人に1つお願い事を聞いてもらうんだよっ」

「面白そう、乗った!!」
「俺も!! お前らもやるよな!!」

すぐに乗ったつばめと惣一に見つめられ、

夜須斗はふーん、と面白そうに返答した。

「まぁ、予想するだけならいいよ。」

「・・・マジでやんの?」

夜須斗の意外な返答に、仁絵が少し驚いた表情を見せる。

「ちょっと面白そうだしね。

仁絵は? ほら。仁絵がやるかやらないか言わないと、

洲矢が決められないよ?」

じーっと見つめてくる洲矢に、キラキラした目を向けてくる波江・つばめ・惣一に、面白そうに見てくる夜須斗。
視線を一手に受け、仁絵ははぁ、と息をついてわかったよ、と承諾したのだった。
 

 

 

試合は熱戦で大盛り上がりだった。
テクニック系の風丘と、パワー系の雲居。
1ゲーム目は動きを思い出すような雰囲気だったが、

徐々に2人ともエンジンがかかり、ゲームが進むにつれ見応えのあるラリーも増えてきた。

パワーサーブで雲居がサービスエースを取ったかと思えば、

風丘がドロップショットで虚を突いたり。
そのたびに女子の歓声があがり、

球技大会とは思えないような空間になっていた。
 

 

 

そして、結果は・・・
 

 

 

「やったーーーーー!! 賭けは俺と洲矢の勝ちぃぃっ」

海保の清々しい宣言が秋晴れの空に響き渡った。

「ちぇっ」
「言い出しっぺが勝つなんて、八百長じゃないのー」

 

つまらなそうな顔する惣一とつばめに、波江が大人げなく自慢げな顔を向ける。

「そんなわけないじゃん♪ 予想力だよ、予想力っ」

「ま、あいつらがリアルに打ってるの見たことあんの波江だけだし、

最初から多少俺ら不利だったよね。」

しょうがないんじゃないの、だから当てた洲矢がすごいよ、と

クールに言い放つ夜須斗に波江はムッとする。

「なんだよー、クールぶっちゃってさ! 

ま、いいや、じゃあ洲矢からお願い事っ」

「え、えと・・・」

波江に背中を押され、

洲矢がんーと、んーと、と一生懸命考えて、

あ、そうだ!と何かを思いついた様子で4人に向き直った。

「来週ピアノの発表会があるから、皆に見に来て欲しい!」

「・・・えぇ!? そんなんでいいの!?」
「洲矢お前もうちょっと欲出せよ・・・」
「ま、洲矢らしくていいんじゃない。」
「っていうか来週発表会ならもっと早く言えよ・・・」

そんなことお安いご用、と4人が請け負うと、

じゃあ次は俺!と元気よく波江が手を挙げた。

「俺はねー、仁絵にお願い事!」

「お、おい・・・」

1人名指し?と仁絵が身構えると、

波江はとんでもないお願い事を言い放った。

「はーくんの弱みとか、おもしろエピソードとか、

恥ずかしい話とか教えてっ!!」

「・・・はぁっ!?」

 

思いも寄らぬ内容に仁絵がぎょっとするのもお構いなしに、

波江は畳みかける。

「だって仁絵、はーくんと1つ屋根の下で暮らしてるんでしょー?
いくらはーくんだって、家なら弱点見せたり、

恥ずかしい格好とか見せてるんじゃないのぉー」

「知らねーよ、んなこと! つーかそれ知ってどーすんだよ!」

「えー、面白いし、

はーくんに今後なんかお願いするときに切り札で使えそうじゃん!」

「余計言えるか! 俺が教えたってバレたら俺がシメられるだろ!」

「・・・ということは何か知ってるんだ!! 教えて教えて!!」

まとわりつく波江に、仁絵は引きはがすのに躍起になりながら、

こいつは精神年齢何歳なんだ、と頭の中に疑問符を浮かべていた。

「おい、離れろって・・・あ。」

そのとき、仁絵の目にいつの間にか現れていた2人の人物が写った。

「海保、そんなに俺の弱点が知りたいのー?」

「「「「あ」」」」

それまで2人の押し問答を、

他人事でどこか面白そうに見ていた4人も、その姿を認めて声を上げる。
最後に気付いて固まったのが波江だった。

「げ。はーくん・・・」

 

そんな波江を見て、クスッと笑いながら、風丘は嫌み混じりに言った。

「そうだなぁ。教え子をくだらない賭け事に巻き込む幼なじみがいることかな。」

「それ弱点じゃないじゃんっ・・・それに、お金賭けてないもん!!」

波江の言い分に、

その場にいる波江以外が全員呆れ、一斉に発した心の声を風丘が代弁した。

「そういう問題じゃないの。」

「うー・・・大体なんで試合終わってすぐにこんなとこに来るのっ!?」

既に涙目になりつつある波江に、雲居が更に呆れた様子で教えた。

「海保・・・ お前、自分の声のでかさ自覚した方がええで。
応援はまだしも、

あんな大声で『賭けは俺と洲矢の勝ちぃぃっ』って叫んだら、
下のギャラリー含めて丸聞こえや。」

「「「「「え」」」」」

 

と、いうわけで、と風丘は波江に歩み寄り、その腕を取る。

「はい、海保。ちょっと一緒においでー」

「わっ やっ、はーくん離してぇぇっ」

風丘は有無を言わさず波江の腕を引き、部室棟の屋上から姿を消した。



いつも違う組み合わせで見ている光景を想定外の面子で見せられ、

そのまま残された5人の間になんとも言えない空気が流れる。

「え、えーっと・・・」
「や、八百長じゃなかったね・・・」
「で、俺たちは・・・」

5人が誰ともなしに雲居を見つめると、

雲居は、あぁ、と大したことではないと軽く言った。

「お前らはお咎めなしや。

どうせ海保の言い出しっぺに乗っただけだろうから、ってはーくんがな。」

「よっしゃセーフ!!」
「風丘理解ある~~~」

「そんなことより!!」

ほっと胸をなで下ろす5人に、

雲居が足下に転がっていた紙を拾い上げて、こっちの方が重大だ、と詰め寄った。

「この予想はなんや!! 誰一人俺の勝ちに賭けとらんやんけ!!」

「あ。」

 

雲居が拾ったのは6人の予想が書き込まれたルーズリーフだった。

ばらけているのはゲームカウントだけで、結果は全員風丘の勝ちに賭けている。

つばめがヤバっという顔をして、洲矢は何とかフォローしようとする。


「えーっとそれは・・・」

 

が、それをばっさり切り捨てたのは夜須斗だった。


「だってあんた実際6-3で負けたじゃん。」

「だとしてもや!! 

6人おって6人ともはーくんの勝ちとか!! 

仁絵と夜須斗に至っては5-1とか!! 馬鹿にしとるんか!!」

 

「い、いえ僕たちそんなつもりは・・・」

 

雲居の剣幕に気圧されながらも、

5人は、だけど、まぁ、ね・・・。と顔を見合わせる。


「あんたがあの風丘負かしてるところを考えると・・・」

「想像できねぇ」
「想像できないよー」
「ちょっと思い浮かばなくて・・・」
「全くもって思えなかった」
「・・・ねぇなって。」

「そーいうとこが馬鹿にしてる言うとるんや!!!!」

秋晴れの空に、今度は雲居の声がむなしく響き渡るのだった。