※Twitter企画に参加させていただき、書かせて頂きました。

 筆者はタートルズについて初心者にわかなので、

 解釈違い等ございましたら申し訳ございません。

 お許しくださいあせる

 

 

 

 

 

 

「お前たち。どうしてこうなったのか説明しなさい。」

 

「「「「・・・」」」」

 

俯いたり、居心地が悪そうに目を泳がせたりしながら並んで正座をしている亀の姿の4人組。

そして、彼らの前には、ネズミの姿をして胴着のような服をまとった人物が仁王立ちしている。

彼の・・・スプリンターの、手に握られているのは1部の新聞だった。

スプリンターが指さした記事の見出しにはこうある。

 

【真夜中のニューヨークに出現!! 亀人間4人組!!】

 

そして、その下にはそれぞれの武器を持って佇む4人の姿が写った写真まで入っている。

昨夜は曇っていて、ビル陰の暗がりでの出来事だったので顔ははっきり写っていないが、シルエットは武器も含めてバッチリ認識できる。

 

「レオナルド。ラファエロ。ドナテロ。ミケランジェロ。

わしはどうしてお前たちがこんな新聞の記事に載っているのかと聞いているのだが?」

 

「それは・・・」

「っ・・・」

「うぅ・・・」

「えーっと・・・」

 

スプリンターに睨まれ、4人・・・レオナルド、ラファエロ、ドナテロ、ミケランジェロは一様に口ごもってしまった。

 

 

 

レオナルド、ラファエロ、ドナテロ、ミケランジェロの4人は

動物を人間のような姿に変えるミュータンジェンの力によって変身した亀の4人組。

4人は「タートルズ」として、4人が暮らすニューヨークを、

そして世界を脅かす悪から守るため、日々戦っていた。

 

 

昨晩、タートルズは、地球征服を目論むエイリアン「クランゲ」の更なる情報を収集すべく、地上に出ていた。

クランゲの出没情報を何日もかけて秘密裏に収集し、昨晩が遂にその「クランゲの行動する日」だったのだ。

計画を練りに練り、クランゲの重大な秘密を手に入れるのだ、と4人とも意気込んで地上に出発していった。

 

が、その練りに練った計画は、些細なことで崩れ去った。

 

きっかけはラファエロとミケランジェロのいつもの喧嘩だった。

クランゲが現れるまでの張り込みの間、

例の如く短気なラファエロが苛立っているところに、

静かに張り込むのに飽きたミケランジェロが茶々を入れた。

そこからはもういつものパターン。

ラファエロが早々に爆発し、ミケランジェロと取っ組み合い。

はぁ、また始まった・・・と呆れ顔のドナテロがレオナルドの腕をつつき、しょうがないな、とため息をつきながらレオナルドが止めに入ろうとした時だった。

 

4人の耳に子供の声が飛び込んできた。

 

「亀が立ってる!! 喋ってる!!」

 

「「「「!!!」」」」

 

4人が視線を投げた声の聞こえた先には、

こちらを指さす少年と、隣で驚愕の表情で携帯を構える少年の姉らしき少女。

 

ヤバい。

 

さっきまで四者四様バラバラだった4人は本能的に意見を一致させ、

少女の持った携帯をシャッターを押される前に彼女自身に怪我をさせないように払い落とすと、同時にその場から逃げ出した。

近づいてきた4人に兄妹2人は腰を抜かし、それ以上騒ぐことも追いかけてくることもなかった。

 

しかし、焦ったまま不用意に逃げ出した4人は、今度は逃げている最中にフラッシュが焚かれるのを感じた。

ビル陰で芸能人のスキャンダルスクープを狙っていた記者に撮られたのだ。

4人の頭の中にはまた同じ言葉が浮かんだ。

 

ヤバい。

 

ラファエロが慌てて記者を追いかけようとした。

写真を撮った記者は二足歩行する亀を目撃した恐ろしさか、

スクープの喜びか、一目散にその場を離れていく。

 

「待て! ラファ諦めろ!」

 

追いかけようとするラファエロをレオナルドは制止した。

今度は記者と追いかけっこをして、また別の人間に目撃されたらキリがない。

それに、先ほどの兄妹がいつ家族等相手に再び騒ぎ出すかも分からないので、この付近にとどまり続けるのはやはり危険だ。

そう判断したレオナルドは、3人にこう指示を出した。

 

「こうなったら仕方ない・・・。作戦は中止だ。地下に戻るぞ。」

 

この日の作戦は夜遅かったので、スプリンターには翌日朝一番で結果を報告することになっている。

その予定通り、地下に戻るとスプリンターは先に休んでいた。

 

あの記者が、見間違いだと判断して写真を掲載しませんように・・・。

 

4人はそれだけを祈って、ビクビクしながら眠りについたのだった。

 

 

 

が、その希望は見事に打ち砕かれた。

 

翌朝早く、スプリンターにたたき起こされ、そのまま4人並んで仲良く正座、問い詰められていたのが冒頭の場面。

 

唯一救いだったのは、撮られた新聞がニューヨーク界隈でしか発刊されていない三流ゴシップ紙だったことだろうか。

UFOだのUMAだのを事あるごとに騒ぎ立てているこの新聞なら、大半の人々はいつものことだと捨て置くだろう。

そもそも、この新聞をチェックしているニューヨーク市民なんてほんの一握りだ。

 

しかし、全国紙だろうとゴシップ紙だろうとニューヨークで手に入る全紙を毎朝細かくチェックしているスプリンターの目はすり抜けられなかった。

目ざとく見つけられ、誤魔化しようがない。

観念した4人を代表して、レオナルドが事の経緯を説明した。

スプリンターは4人の目を順番に見つめながら、静かにレオナルドの説明を聞いている。

レオナルドはまだしも、聞いているだけの3人は居たたまれなく、もぞもぞと動いたり目を泳がせたり忙しない。

 

「・・・と、いうわけで・・・写真を撮られました・・・」

 

「・・・当然、クランゲの情報は?」

 

「何も・・・得られませんでした・・・」

 

俯きがちにレオナルドが恐る恐るそう言って数秒後。

 

「お前たちは一体何をしに地上に行ったのだ! 馬鹿者!!」

 

スプリンターの雷が落ちた。

4人はヒッと息を呑む。

 

「忍者とは、忍ぶ者。人に存在を知られてはならん。

敵に向かうときは連携をとり、協力する。

どちらもこれまでに何度も、口が酸っぱくなるほど言い聞かせてきたはずだが?」

 

「はい、先生・・・」

「「「はい・・・」」」

 

しょぼんと返事をするレオナルドに続き、力なく返事する3人。

そんな4人の様子を見て、スプリンターは思案気な表情で、やがて口を開いた。

 

「ふむ・・・。お前たちには、ただ言葉で言って聞かせるだけでは足りぬようだ。

罰も兼ねて、文字通り体に教えを叩き込むこととしよう。」

 

「「「え・・・」」」

 

なにやら物騒な物言いに、レオナルド、ラファエロ、ドナテロがたじろぐ。嫌な予感がする。

しかし、1人素直で無邪気なミケランジェロは、思ったことを口にした。

 

「え? 罰って何? 何ですか? 

前みたいに外出禁止はやだなぁ。だって退屈で・・・」

 

「おいマイキー!」

 

素直すぎるミケランジェロに、慌ててレオナルドが止めに入る。

が、スプリンターはそれそのものは咎めず、ミケランジェロに問いかけた。

 

「・・・気になるかミケランジェロ。」

 

スプリンターの視線が自分一人に向けられて、

ようやく他の3人と同じく嫌な予感を察知したミケランジェロは、慌てて前言撤回しようとした。

 

「えっとー・・・さっきまで気になってたけどやっぱりへいk」

 

「・・・いいだろう。まずはお前からだ。こちらに来なさい。」

 

「いや、僕やっぱり・・・」

 

「来なさい!」

 

「はいぃっ」

 

ミケランジェロが慌ててスプリンターの側に行くと、ミケランジェロは手を取られ、

気付くと近くにあった普段腰掛け代わりになっている段差に押さえつけられる形になっていた。

 

「うわぁっ えっ何っ? 何っ?」

 

心許ない体勢にミケランジェロが首を動かして言うと、

スプリンターの厳しい声が頭上から降ってきた。

 

「何度言われても言いつけを守ろうとしない・・・子供のお前たちにぴったりの罰だ。」

 

バシィィンッ

 

「いったぁぁぃっ!!」

 

「「「!!!」」」

 

スプリンターの手が、段差に押さえつけられることでちょうど突き出したミケランジェロのお尻に振り下ろされた。

いくらネズミの体とはいえ、鍛え上げられたスプリンターの平手の痛みは相当なもので、

ミケランジェロは飛び上がって逃げようとする。

が、それが許されるはずもなく、ミケランジェロはがっしりと押さえ込まれてしまう。

 

「逃げるな。まだあと9回だ。」

 

「9回!? 無理無理無理、もう1回だってむりっ・・・」

 

「問答無用。」

 

バシィィィンッ バシィィィンッ

 

「ぎゃぁぁっ いたぁぁぃっ」

 

 

 

たった3回で泣き叫ぶミケランジェロを見て、

離れたところで正座している3人は顔を引きつらせた。

 

「い、痛そう・・・どうしよう、先生『お前たち』って言ったよねっ・・・!?

次は僕たちの番・・・」

 

おろおろするドナテロに、ラファエロは若干いらついた様子で答える。

 

「分かってるよそんなの! あんな恥ずかしい格好・・・冗談じゃねぇっ・・・」

 

「でもマイキーを置いて逃げられないし、逃げたところでどうなるわけもないだろう。

おとなしく受けるしか・・・」

 

「ぅ・・・」

「そう・・・だよね・・・」

 

レオナルドに事実を突きつけられ、二人は肩を落とした。

が、言った本人のレオナルドも、あと十数分後にはやってくるだろう自分の番を思って盛大に肩を落とした。

 

 

 

・・・バチィィンッ バシィィィンッ

 

「やだっ・・・もうやだ先生無理ぃぃっ!!」

 

「情けないことを言うなミケランジェロ。

今回の直接的な原因はお前とラファエロのケンカだろう。

やってしまったことの罰はおとなしく受けるものだ。あと3回。」

 

バチィィィィンッ

 

「あああんっ!! 先生ごめんなさいもうしませんんんっっ」

 

バシィィンッ バッチィィンッ

 

「いたぁぁぁぁぃっ!!!(T^T)」

 

最後に飛び切り痛い3発をもらって、ようやくスプリンターはミケランジェロを解放した。

が、痛みでグスグス泣いているミケランジェロに、スプリンターは容赦ない。

 

「ミケランジェロ。早く列に戻って正座しなさい。ドナテロと交代だ。」

 

「ふぇぇ・・・お尻痛くて正座できないぃっ・・・」

 

お尻を押さえて駄々を捏ねるミケランジェロに、スプリンターはため息をついて言い放った。

 

「・・・ミケランジェロ。仕方ないな。最初からか?」

 

「ひっ!! 正座しますぅぅっ!!」

 

今のスプリンターならやりかねない。

焦ったミケランジェロは転がるように3人の元に戻り、元いた場所に正座した。

 

「ドナテロ。次はお前だ。」

 

「はい・・・」

 

怖ず怖ずとやってきたドナテロも、ミケランジェロと同じように段差に押さえつけられる。

 

「いくぞ。」

 

「っ・・・はい・・・」

 

バシィィンッ

 

「いぃぃっ!?」

 

バチィィンッ バシィィンッ・・・

 

「うぅっ・・・うぁぁぁっ!」

 

ミケランジェロほど暴れはしなくても、痛いのには変わりない。

ドナテロは打たれるたびにうめき声を上げ、時折足を跳ね上げて必死に耐えた。

 

「ドナテロ。前へ前へ行けとは言わぬ。

だが、レオナルドに任せきりではなく、自分で行動する意志を持つように。」

 

バシィィンッ

 

「うっくぅぅっ・・・はい、先生。ごめんなさい・・・」

 

ラファエロとミケランジェロの仲裁をレオナルドに任せっきりにしたことを見抜かれているのだろう。

 

「よし、最後だ。」

 

バチィィィィンッ

 

「うぁぁぁぁっ!!」

 

最後にとびきり痛い1発をもらい、ドナテロは解放された。

 

「次はラファエロ。来なさい。」

 

「っ・・・」

 

「おいラファ!」

 

呼ばれても動こうとしないラファエロを、レオナルドが肘でつつく。

しかし、それでもラファエロはよほどお仕置きが嫌なのか下を向いてその場で固まっている。

 

「・・・ラファエロ。素直に来られないなら回数を倍にするぞ。」

 

「!! 先生でも俺あんなっ・・・別の罰にっ・・・」

 

「全員同じ罰だ。例外は認めん。」

 

「ラファ早く行った方がいいよ、あんなの20回も無理だって!」

「ほんとほんと! お尻壊れちゃうよっ」

 

既に叩かれたドナテロとミケランジェロがありがたくないアドバイスを送ってくる。

どれだけ痛いのかは、見ていればなんとなく分かる。

それでも恥ずかしくて素直に行けないのだ。

 

「っ・・・」

 

まだ逡巡しているラファエロに、レオナルドが全く・・・と、息をついて声を掛けた。

 

「ラファ。観念して行けよ。皆見られてるんだ。恥ずかしさは皆同じ。

皆同じ罰なのに、このままだとお前だけ痛いのが増えて損だぞ?」

 

「っ・・・レオ・・・」

 

レオナルドの説得に、ようやくノロノロと立ち上がったラファエロは、スプリンターの元に歩み寄った。

やっとやってきたラファエロを、スプリンターは一瞥すると、一言。

 

「往生際が悪い。」

 

「っ・・・うわっ」

 

あっという間に前の二人と同じ体勢にされ、容赦ない平手がお見舞いされた。

 

バチィィィンッ

 

「ってぇぇぇっ!!」

 

1発目から強烈な一撃に、いくら筋肉バカでケンカ慣れしているラファエロでも悲鳴を上げて足をばたつかせた。

 

「暴れるな!」

 

バシィィンッ バシィィンッ

 

「ぎゃぁぁっ あぅぅっ」

 

ばたつかせた足を咎めるように、両足の付け根に一発ずつ。

なかなか素直に罰を受けられなかったお仕置きと言わんばかりに、

ラファエロに与えられる平手は厳しかった。

 

「ラファエロ。お前には幾度となく忍辱の精神を説いてきたはずだ。

いい加減にその短気を押さえる努力をしなさい。」

 

バチィィィンッ バシィィンッ

 

「んぎゃぁぁっ す、すみません先生っ」

 

「それからつまらぬ意地を張らないことだ。損するのはお前自身だ。」

 

バチィィンッ

 

「ひぃぃっ わかりましたぁっ」

 

「よし。最後だ。」

 

バチィィィィンッ

 

「いってぇぇぇぇっ!!」

 

最後の1発で、ラファエロは痛みに思わず段差から転がり落ちた。

 

「・・・戻りなさい、ラファエロ。最後はレオナルド。お前だ。」

 

「はい、先生。」

 

レオナルドは立ち上がると、這うように正座の位置に戻るラファエロと入れ違いにスプリンターの元に向かった。

そして、スプリンターに手を取られ、なされるがまま体勢をとる。

 

「レオナルド。記者を深追いしなかった判断は正しかったとわしも思う。よくやった。

しかし、そうなる前にもう少し早く対処すべきだったな。」

 

「はい、先生・・・。反省しています。」

 

「よし。皆と同じ10発だ。」

 

バシィィンッ バシィィンッ バシィィィンッ

 

「ひっ!?・・・うぅっ・・・うぁぁっ」

 

レオナルドは、手をぎゅっと握り、足に力を入れて耐えた。

声は我慢できなくとも、抵抗したくなる手や足を全力で押さえ込んだ。

弟たちが見ている前で無様な格好は晒したくなかった。

 

「・・・最後だ。」

 

バチィィンッ

 

「いぃぃぃっ・・・」

 

最後まで耐えきったレオナルドは、息も絶え絶えに立ち上がる。

そんなレオナルドを見て、スプリンターは少し柔らかい声でレオナルドに説いた。

 

「レオナルド。リーダー的立場だからといって責任をお前に全て押しつけるつもりはない。

今回の失敗を全て背負い込む必要もない。

しかし、リーダーだからこそ出来ることもあるはずだ。考えておくように。」

 

「・・・はいっ 先生。」

 

「よろしい。戻りなさい。」

 

レオナルドが正座の列に戻ると、スプリンターは再び4人の前に立った。

 

「4人とも、反省は出来たか?」

 

「とってもしました!」

「はい、ほんとに!」

「もうすごく!」

「ちゃんと反省しました、俺たち、4人とも!」

 

「・・・・・・」

 

スプリンターは、無言で4人の顔を代わる代わる見つめると、少し経って。

 

「・・・いいだろう。」

 

その言葉に、4人は罰が終わったのだとホッと息をつく。

反省が足りない、等と言われて更なる罰を追加されたらたまったものではない。

4人が胸をなで下ろして立ち上がったときだった。

 

「それでは、午前中の稽古に移るぞ。

今日の稽古は・・・乱取りだ。」

 

「えっ・・・」

「乱取りって・・・」

「せ、先生・・・」

「ものすっごく嫌な予感・・・」

 

 

 

「ぎゃぁぁっ」

「ひぃぃぃっ」

「うわぁぁぁっ」

「先生ぃぃっ」

 

いつもなら頭やら肩やらいろいろなところを打たれるのに、今日に限ってはスプリンターが打ってくるのは1カ所だけ。

そしてそれは今そこだけは絶対に打たれたくない場所。

・・・そう、先ほど容赦なく打たれたまだ赤く腫れているお尻だった。

道具で打たれるのだから、先ほどの罰よりもよっぽどきついお仕置きだ。

 

「痛いのが嫌ならわしから1本取ることだな。ミケランジェロ。」

 

「そんなこと言われてもぉ~~いたぁぁぁぃっ」

 

「先生、稽古に移るって・・・ひゃぁぁんっ」

 

「乱取りは稽古だぞ。ドナテロ。」

 

「先生、マジで鬼・・・」

 

「ラファエロ。余計なことを考える余裕などあるのか?」

 

「んぎゃぁぁっ すみませぇぇんっ」

 

「先生っ 俺たち反省しましたからっ いたぁぁぁっ だからっ」

 

「「「「もう許してぇぇぇぇっ」」」」

 

午前中、罰と乱取りでたっぷり泣かされた4人。

これからしばらくは、4人はおとなしく真面目に鍛錬に、ミッションにと励んだとか。