注意
今回のストーリーは大人組の「彼女」についてのお話です。
読まなくても今後すぐに支障がでることはないので(;^_^A
「そんなの嫌だ 認めない
」という方はスルーお願いします(笑)
大丈夫!!という方はスクロールどうぞ
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年明け早々。風丘宅。
「・・・あのさ、風丘・・・」
「んー? どうしたの?」
「・・・いつまでいんの? こいつら。」
仁絵の指さす先には・・・
「何よ。こいつらとか失礼しちゃう!」
「ほんまやで。大体ここの家主は はーくんやもん。
お前が文句言う権利ないでー」
「それは一理ありますが飲み過ぎですよ。光矢。」
「っていうかもりりんがもっと飲みなよ~~」
そう、今日は風丘の家で『新年会』と称した風丘たち五人組の集まりが開かれている。
昼間からやって来たのが雲居と氷村と波江。
日中は(避難がてら)仁絵も惣一たちと遊びに行っていたのだが、
それから帰ってきても(霧山が途中合流して)4人はまだいたのだった。
「あー・・・嫌だったら部屋戻ってていいよ? ご飯出来たら呼ぶし・・・」
風丘が苦笑しながらそう答える。
が、仁絵はそうしなかった。
「ヤダよ! 今日の夕飯当番俺!
どーせ昼飯だってこいつら風丘に作らせたんだろ? 夜は俺がやる。」
「え、あ、うん・・・クスッ」
荷物をリビングの隅に放り投げ、
キッチンに向かう仁絵の後ろ姿を見て、風丘は思わず吹き出す。
「・・・なんだよ。」
「ううん。何でもないよー
あ、森都がいろいろ材料買ってきてくれたんだー
すき焼きがいいなって海保が言ってね。」
「りょーかい。下ごしらえしとくわ。
・・・おい、酔っぱらいども。飲むならあっちで飲めよ、邪魔!!」
エプロンを着けつつ、
仁絵はダイニングで飲みながらたむろしている4人を、キッと睨んでリビングを指さす。
そんな仁絵を見て、雲居がおもしろそうに茶化した。
「おーおー不良少年。なんや主婦顔負けのエプロン姿やん♪」
「これ以上絡んできたら
いくら霧山が材料買ってきたっつっても一口も食わせねーからな、この変態ヤロー」
「・・・はぁ? 何で俺が変態・・・」
二人の間に不穏な空気を感じ取って、慌てて風丘が間に入る。
「はいはい、光矢。邪魔なのは本当だからあっち行くよ!!
じゃあごめんね、仁絵君。お任せするね!!」
「へいへい。」
そして1時間後のリビングでは・・・
「おいしー♪」
「ね、これすごい良いお肉じゃない?」
「年明けなのでちょっと奮発してみました。」
「おーきに、もりりん!」
「こらこら、全部おごってもらうわけじゃないよ。」
賑やかなすき焼きパーティーが始まっていた。
普段は食事はダイニングだが、
これまた波江の「床に座って食べたい」という要望から、
急遽リビングで食べることになったのだ。
「仁絵君? 食べないの?」
下ごしらえした食材を運び込んだ後は全く鍋に近づかない仁絵を見て、
風丘が不思議そうに顔をのぞき込む。
「俺はいーよ。風丘たちの飯だろ。俺は向こうで適当に・・・」
「心配せずとも、貴方の分もちゃんと数に入れて買いましたよ。柳宮寺君。
大体、下ごしらえした貴方が優先的に食べるべきです。
早く食べないとそこの大食い3人に食べられますよ。」
「べ、別に・・・」
「はいはい、ここ入って!!」
「お、おい!!」
結局半ば強引に霧山と風丘の間に座らされ、
溶き卵の入った器を持たされ、肉を溢れんばかりに取り分けられて
ようやく意地を張っていた仁絵も食べ出したのだった。
こうして、食事が進み出してしばらく経った頃。
玄関の方からバタバタと足音がして・・・
リビングのドアが開いたと思うと
「葉月っ!!!」
突然パンツスーツ姿で、栗色の髪のショートカットの美女が飛び込んできて、
風丘に飛びついた。
風丘はそんな女性を見て、こともなげに、でもちょっと呆れたように言う。
「みらちゃん・・・
インターホン鳴らしもしないで
勝手に合鍵使って入ってくるの止めなさいって前も言ったでしょ?」
「何だよ・・・別にいいだろ、それくらい・・・私葉月の彼女なんだからっ」
「なっ・・・はぁぁっ!?」
まさかの展開に、食事が始まってからおとなしくしていた仁絵は思わず声をあげてしまう。
「なっ・・・風丘っ・・・お前っ・・・彼女いたのかよっ!?」
「あー・・・」
困ったように笑う風丘に、雲居が代わって相づちを打つ。
「せやでー。空城 実嵐(そらき みらん)。高校時代からのはーくんの彼女や。
っていうかはーくんほどのハイスペックイケメンに彼女いない方がおかしいやろ。」
内心確かに・・・と思ってしまう仁絵。
そんな呆然、という感じの仁絵に、実嵐は近づく。
「・・・ってか・・・君誰?」
「え」
「前に話したでしょ? いろいろ事情があって預かってるクラスの・・・」
「あー!!」
風丘の言葉に、思い出した!と手を打つ空城。
「『とっても可愛い』と噂の柳宮寺仁絵君!!」
「風丘・・・てめぇ・・・」
「えー、だってほんとだよ?(笑)」
デジャビュに仁絵が風丘を睨むも、風丘は全く悪びれない。
そんな不機嫌な仁絵には全く気圧されず、空城はじーっと仁絵の顔を見つめる。
「まー、確かにキレーな顔だよな・・・」
「・・・はぁ?」
「そう睨むなよ、よろしくっ仁絵君っ(ニコッ)」
「ど、どーも・・・」
笑顔で手を差し出され、勢いに押されて握手する。
そんなとき、ふと頭に浮かんだ疑問を仁絵が口にする。
「っていうか・・・俺風丘と住んで1年なんだけど・・・
それまで一度も家来てなかったのかよ。」
「あー、私が家デート嫌いだからさ。
会うのは大体外だから。別に気ぃ遣ってたわけじゃないよ。」
だから気にすんな、と肩を叩いてくる空城に、仁絵はハハ・・・と若干苦笑いする。
そこに、突然波江が口を挟んできた。
「へー、何で嫌いなの? お家デート。」
「え゛っ!? それはまぁ・・・いろいろと・・・な。
っていうかほら、私そもそも忙しくてあんまり時間とれないし。」
波江の質問に対する答えとしてはちょっとぎこちない回答だったが、
仁絵が別の部分に食いついた。
「仕事何してんの?」
「新聞記者や。しかもバリバリの報道。何となくちょっと見ただけでも納得やろ?
気ぃ強ぉて男みたいで・・・そんなやないと務まらん仕事やで。」
「あー・・・まぁ・・・」
雲居の説明に、仁絵ははっきり返事はしないものの内心そうだなと思う。
「ほんまに・・・はーくんの女の趣味だけは理解できひんわー」
「ふんっ 別に光矢に理解してもらわなくたっていいよ、
この変態白衣ヤローなんかにっ」
「ゲホッゴホッ」
「ちょっと仁絵君、大丈夫?」
覚えのある単語が不意に聞こえてきて、
思わず水を飲んでいたのに仁絵はむせかえってしまった。
「あ、いや・・・ヘーキ・・・」
「はぁ!? 俺のどこが変態やねん!!」
「自分の彼女自分の病院で働かせてる奴が変態以外のなんなんだよっ」
「ゴホゴホッ」
空城がまたしても爆弾発言したせいで、再びむせる仁絵に、風丘が苦笑する。
「・・・仁絵君・・・しばらくお水飲むの止めたら?(苦笑)」
「そうする・・・」
「どーせチアキのナース服姿見て四六時中デレデレしてるんだろ、あーやだやだ。」
「なっ・・・!! するかアホ!!」
「はぁ・・・葉月の趣味を理解できないとまでは言いませんが、
貴方も少しは女性らしさを身につけたらどうですか。」
騒がしいと思ったら・・・と
空城が来た時にはトイレに行っていた霧山があきれ顔で戻ってくる。
そんな霧山の顔を見ると、空城はしかめ面をする。
「ゲッ イヤミドS眼鏡・・・」
「・・・空城さん?」
「っ・・・あ、っていうか森都、お前またキホ泣かしてないだろーなっ」
突っかかってくる空城に、雲居と違って眉一つ動かさず霧山は聞き返す。
「・・・私がいつ彼女を泣かしましたか。」
「泣かしてるだろしょっちゅう!!
お前昔っからキホ苛めてばっか。ほんとキホもこんな鬼畜のどこがいいんだか・・・
あ、あと海保!!」
「え、ど、どーしたの・・・?」
突然矛先を向けられて目を丸くする波江に、空城は早口でまくし立てる。
「お前はもーちょっとハズミの面倒見ろよっ
何かやらかす度に電話される私とチアキの身にもなれっ」
「あ、ご、ごめん・・・」
そして言うだけ言うと、空城は腕時計を見てうわっと声をあげる。
「あー、もう会社戻んなきゃっ
っていうかお前らがいるなんて聞いてないんだけどっ
私は葉月に会いに来たんだぞ!?」
そんな空城の言い分に、あらあら、と氷村が苦笑して言う。
「葉月に予定も聞かずに押しかけてきたのは貴方でしょうに。」
「雪ちゃん。そこはスルーしてよ・・・あー、っていうかもうほんと時間ないっ
ごめん葉月、後でメールするからっ」
「はいはい。気をつけてね。」
じゃっ と挨拶もそこそこに嵐のように去っていった空城の後ろ姿を見届けて、
風丘はリビングのドアを閉めた。
「・・・ほんま、あんな台風女のどこがいいん? はーくん。」
「えー? 可愛いじゃない。」
「まぁ顔が美人なのは認めるけどなぁ・・・」
「口が悪すぎです。葉月が甘やかすからですよ。」
「あー、まぁ、それは昔から言ってるんだけどねぇ・・・ また話しとくよ(苦笑)」
そんな大人組の会話が繰り広げられる中、恐る恐る仁絵が口を開く。
「あー・・・あのさ。
俺・・・この場にいなかったことにしといた方がいい?」
「あー・・・(苦笑)」
仁絵の言わんとしていることが分かって、風丘をはじめ大人組が苦笑する。
「まぁ、隠してるわけじゃないけど・・・しばらくは・・・かな?」
「ハハハ・・・りょーかい。」
そう言って人差し指を口に当てるアクションをした風丘に仁絵は苦笑いで返すのだった。