(風丘視点)



「風丘っ ごめんっっっ」

「へっ?」


職員室のドアをバンッと勢い良く開けて、つかつかと入ってきたかと思ったら、

いきなり頭ガバッて下げて謝られても・・・・・。

今回は思い当たる節ないんだけど(汗)

何かの作戦? 俺をからかってる?
素直に謝ってんだとしたら明日は雪だね・・・(苦笑)


「何? どーしたの惣一君・・・・・」

「いや、そのぉ・・・・・」


惣一君は言いづらそうに、どもりながら話し始めた。

屋上でのキャッチボール、夜須斗君の筆箱事件・・・
・・・ああ、なるほど。だから夜須斗君筆箱ないって困ってたわけね。


「でも珍しいじゃない。自分から言いに来るなんて。

罪悪感に駆られた?」

「違ぇに決まってんだろ!」


いや、そこ自信持って言うトコ・・・?


「夜須斗が・・俺から自白しなきゃ明日風丘に言う、んじゃなきゃ許さねぇって。」


・・・つまり夜須斗君からのお仕置きなわけね、これ。
夜須斗君、意地悪いこと考えるねぇ・・・

さすが親友。嫌がることをよく分かってる(笑)。
なんかテイストが昔の森都に似ている気がするのは・・・

うん、気のせいだ。。(苦笑)


「で、俺からお尻ペンペンされなさい、ってことか。」

「うっ・・・・やっぱ・・・・そうだよなぁ・・・・。」


あからさまに顔ゆがめられても・・・・

言われたら知らないフリできないしねぇ。


「まぁ、しないわけにはいかないね。

太刀川は帰っちゃったかな・・・まぁ、明日するとして。

おいで、新堂。部屋行くよ。」

「っ・・・・・・・・・」


名字呼び、『部屋』でビクつくなんて・・・

そうとうヤなんだね・・・でも、しょうがない。


惣一君をつれて部屋に行こうと職員室を出ると、

壁にもたれかかってる夜須斗君がいた。


「ん? 夜須斗君・・・?」

「ふーん、素直に謝り行ったんだ。」

「夜須斗っ・・・てめぇっ・・・・・」


アハハ・・・夜須斗君の言い様に

惣一君顔真っ赤にしてキレかけてる・・・(苦笑)


「そうかみつくなよ。確認しにきただけだろ。」

「だったらもういいだろ、早く帰れっ!」

「はいはい。あー、風丘。」

「ん? なーに?」

「俺の筆箱のことは怒んなくていいから。

屋上のキャッチボールのことだけにしといてやって。」

「え?」


「半ば脅したけど。でもこいつが自分から教師に謝りに行くなんて滅多にないからさ。
俺の件はそれで十分。あとは任せるけどね。んじゃ。」

「・・・・・・クスッ・・・・アハハハハッ 分かった分かった。いーよ、OK。」

「「な、何笑ってんだよっ」」


笑いながら答えたら2人同時にかみつかれた。


「ゴメンゴメン。なんだかんだ言って夜須斗君優しいんだなぁって思ってさ。
確認なんて言って。

新堂のこと心配して、もし来てたらフォローするために来たんでしょ?」

「「なっ・・・・」」


2人動きがそろってる。あー、カワイイ☆


「とにかく、俺は帰るからっ じゃあなっ惣一。」


夜須斗君は走って行っちゃった。

まぁ、そういうことだし、早く済みそうだね。




部屋まで行くと、俺はとっととソファーに座って、膝を叩いた。


「おいで。早くすませてあげるから。」


・・・・って言ったってこれるわけないよねぇ。

案の定、惣一君は固まったまま。仕方ないか。


「ったく・・・・んしょっと」

「うあっ、ちょ、ちょっと待っ・・・」


腕引っ張って膝に乗せる。

惣一君は小柄だから結構乗せるのは簡単なんだよね。
手早く履いている物を下ろして、準備完了!


「じゃあ、いくよ、30発。暴れないで我慢できたらおしまい。

声はあげてもいいよ。」


今回、俺だってそんな怒ってないし、夜須斗君もいいって言ってるし、

パッパと終わらせよう。


バシィィンッ


「いたぁぁっ」


一発目は痛いよねぇ・・・・ 経験上分かっちゃう自分が悲しい(苦笑)。


バシィンッ バシィンッ バシィンッ バシィンッ バシィンッ


「うっ・・・あああっ・・・ったぁぁっ!!!」

「決まりは有る程度守らなきゃダメでしょ? 

ただでさえ歩く校則違反みたいな感じなんだから・・・」


染めてはいないみたいだけど、明らかにワックスで盛ってる髪、
校則で禁止されてる柄物のシャツを学ランの下に着て、

ベルトはシルバーの飾りがついたキラキラなやつ、で腰パン。
たまにアクセサリーしてる時だってある。
俺だって学生時代、そこまでちゃんと服装の規則とか守ってた記憶ないから、

服装くらいは、って大目に見てあげてるんだけど・・・。


バシィンッ バシィンッ バシィンッ バシィンッ バシィンッ


「ったぁぁぁっ ってぇっ! か、風丘っ・・服装指導しねぇくせにっ・・・」

「なに、それ。俺が悪いみたいな感じ。

じゃあ服装指導する? こんな格好じゃ、毎日百叩きだね。」


バシィンッ バッシィィンッ


「うぁぁぁっ! ってぇぇ・・・やだっ・・そんなのっ・・・」

「服装とか持ち物とか登校時間とか、他の先生よりは大目に見てあげてるでしょ。
だからせめて『屋上でボール遊びしない』くらいの決まりは守ってよ。」


バシィンッ バシィンッ バシィンッ バシィンッ バシィンッ


「ぎゃぁぁぁっ! ふぇっ・・・わ、分かったからっ・・」


・・・最近泣くの早くない?(苦笑)

まぁ、後は『ゴメンナサイ』を言わせなきゃねぇ・・


「分かったの? 分かったらなんて言うの?」


バシィンッ バシィンッ バシィンッ バシィンッ バシィンッ


「いてぇぇぇぇぇっ!  ふぇっ・・うっ・・くっ・・」


痛みが蓄積されてきたからか暴れ出したね・・・

涙もボロボロこぼして・・・全く・・・まぁ、惣一君らしいけど。


「ほら、暴れないの。ノーカンにされたい?」

「や、やだぁぁっ」

「だったら。なんて言うの? ほら、分かってるでしょ。

待っててあげるから言いなさい。」

「ふぇぇっ・・・えくっ・・・うぅ・・・・」


・・・・・早く言ってよ~ 

そんな泣き顔ばっかり見せられるとこっちがツライ・・仕方ないか・・


「言えないなら再開するよ。」


バッシィィィンッ


「うぁぁぁぁぁっ!! ご、ごめんなさいぃっ!」


や~っと言った。よし、あと6発ね。


バシィンッ バシィンッ バシィンッ バシィンッ バシィンッ


「ふぇっ・・うぁぁぁっ いたぁぁぃっ ぎゃぁぁっ」

「さーいご。」


バッシィィィンッ


「うぁぁぁんっ」


よし、おしまい!


「はいはい、おしまいだよ。

冷やしてあげるから、そんなに泣かないの。」


お尻冷やして慰めて、元に戻るのに30分くらいかかるんだよね。

今日もそんな感じだった。




「・・・・じゃあ、俺帰る。」

「はいはい。夜須斗君は、もう別に怒ってないみたいだからね。」

「・・・・おぅ。・・・・・じゃあ、な。」

「ん。さよなら。」


いつも帰るとき気まずそうなんだよね。そこが可愛いんだけど・・・・・

そこに・・・


ピリリリリリ


「ん? 内線・・・? はい、風丘・・・・・・・はい、・・・・はい、・・・・・・・・・・えっ!?」